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高畑耕治

Author:高畑耕治
愛のうたの絵ほんは、高畑耕治の詩と詩集の海です。
Profile 高畑耕治 たかばたけ こうじ
1963年生まれ大阪府四條畷市出身、早稲田大学政経学部中退。東京都多摩市在住。
詩集『銀河、ふりしきる』(2016年5月イーフェニックス)
詩集『こころうた こころ絵ほん』(2012年同上)
詩集『さようなら』(1995年土曜美術社出版販売・21世紀詩人叢書25)
詩集『愛のうたの絵ほん』(1994年同上)
詩集『愛(かな)』(1993年同上)
詩集『海にゆれる』(1991年土曜美術社)
詩集『死と生の交わり』(1988年批評社)
雑誌「エヴァ」に扉の詩(1996~1997サンマーク出版)を連載。
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新体詩をめぐる詩想

 今回は、新体詩、近代詩についての雑感です。
『日本の詩歌2 土井晩翠、薄田泣菫、蒲原有明、三木露風』(1976年、中公文庫)を通読しましたが、正直なところ苦しい読書、勉強でした。感動した詩、とても好きな詩を見つけたら、そっと摘んで言葉を添えて咲かせようと思っていたのですが。今できること、読みながら、想い、考えたことを記録しようと思います。

 この四人の詩に、素直に共感できなかった一番の理由は、文語で書かれているからだと思います。私には文語を読み理解する基礎能力がないためです。漢文の素養が欠けていることも影響していると感じます。
 そうではあっても、集中に咲いている可憐な抒情小曲を見つけると、詩はかわらないなあ、好きだなと、立ち止まる憩う時間を見つけられたことは、嬉しく感じました。 
 以下は雑感を、浮かんだままに書き留めます。

1.時代と詩人
① 明治30年代、1890年から1910年くらい、今から約100年前に活躍した詩人たちだということ。既に50年近く生きた私にとってはそんなに遠い時代の詩人ではない。
② 20代、30代前半に詩の創作・活躍時期が集中している。薄田泣菫は散文しか書かなく(書けなく)なった。蒲原有明は『有明集』が詩の潮流の分岐点(自然主義、口語自由詩)で黙殺・評価されず詩作を中断した晩年の口語詩はよいと思う。
③ 島崎藤村が散文、小説家に転じたのと同じく、詩と年齢について考えさせられる。その意味では、老齢まで生涯詩人として書き続けた高村光太郎、詩と散文の境界を凝視しながらやはり詩人の魂を表現した萩原朔太郎は、資質的に本来の詩人なのだ、詩人でしかありえなかったのだと思うし、私もそうありたい。
④ 『明星』はやはりこの時代を引っ張ったと感じる。与謝野鉄幹は詩人としての作品の魅力は乏しいが、批評家としてとても優れている。『早稲田文学』の若者たちの自然主義の潮流を背景にした主張は、実作の実りは乏しくすぐ衰えたが、批評性には光るものがあったと感じる。蒲原有明に詩人が嫌いになったと回想させた、噛みつきなど。真率な批評を交わすことはとても良いこと。今そのような批評が欠けている。詩を書く年代層の高齢化が影響していると思う。

2.文語
① 文語と口語の断絶は大きい。古文は初めから古語辞典を片手に読み解く対象と思うけれど、文語はわかるようでわかっていない、基本文法・言い回しを正確には知らないので誤読していることが、私の場合は多い。
② 古文の随筆や和歌は意味がわからなくても音の流れ・言葉の音楽として美しいと感じる。同じ意味での美しさは文語詩でも感じることができる。とくに短唱、抒情小曲は、口語詩よりいい響きだと、好きだなと、感じたりする作品が、とくに土井晩翠にもあった。島崎藤村だけでなく。

3.新体詩
① 薄田泣菫や蒲原有明が、新体詩として、これまでなかった詩形、表現の仕方を見つけようと試み工夫している情熱に共感する。
② 西欧翻訳詩の模倣と工夫、森鴎外や上田敏や永井荷風の翻訳詩集と相互影響。ただし実作のほとんどは、詩連と行数をまねただけ。その型を先に意識して詩句を押し込め拵えた作品は、面白みはあっても、感動に乏しい。
③ さまざまな音数律の詩形の工夫。島崎藤村のようなオーソドックスな七五調は、限界の詩行を越えると、あまりに単調で退屈に陥る。薄田泣菫のさまざまな音数律や、蒲原有明の翻訳讃美歌をまねた四六七調など、単調、退屈を破り、変化を見つけようとする試みの姿勢には学ぶべきところがある。が、やはり、型を先に意識して詩句を押し込め拵えた作品は、面白みはあっても、感動にまでは至らない。順序が逆。詩はまず感動があって、その感動にふさわしい顔で生れ出る、生み出すものだと思う。

4.叙事的長編詩、象徴主義
① 土井晩翠、薄田泣菫、蒲原有明が、時代の流行りもあり試みている叙事的長編詩は試みることへの共感を除くと、私にはつまらない。好みもあるかもしれないが、同時代に書かれた小説に比較すると中途半端で弱く甘い。
②薄田泣菫、蒲原有明、三木露風が、自らの詩風を、象徴的、象徴と読んでいるが、私が先入観で考えていた以上に、とても日本風の日本的な情景、情調の詩だった。もともと詩の不可欠な要素として象徴性はあるのだから、新しく作り出された作風とまではいえず、当時紹介、輸入されたフランス象徴詩派をまねて共通項のないものに名前をつけただけだと感じる。朔太郎の論じるように、『新古今和歌集』や芭蕉がよほど象徴詩だと思う。

 次回は、この野辺で見つけたいちりんの小さな詩の花を咲かせます。


 ☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2100円(消費税込)です。

 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩の響きあいをぜひご覧ください。

    こだまのこだま 動画
  
 ☆ こちらの本屋さんは店頭に咲かせてくださっています。
 八重洲ブックセンター本店、丸善丸の内本店、書泉グランデ、紀伊国屋書店新宿南店、三省堂書店新宿西口店、早稲田大学生協コーププラザブックセンター、あゆみBOOKS早稲田店、ジュンク堂書店池袋本店、紀伊国屋書店渋谷店、リブロ吉祥寺店、紀伊国屋書店吉祥寺東急店、オリオン書房ノルテ店、オリオン書房ルミネ店、丸善多摩センター店、くまざわ書店桜ケ丘店、有隣堂新百合ヶ丘エルミロード店など。
 ☆ 全国の書店でご注文頂けます。
    発売案内『こころうた こころ絵ほん』
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大関松三郎の詩「虫けら」と、子どもの瞳

 前回に続き、『愛の詩歌集』(山本太郎編著、1960年、社会思想社 現代教養文庫284)所収の明治時代、近代詩以降の詩を読んで感じたことを記します。

 今回この期間の収録詩を読み返して、私の心にもっとも強く響いたのは、前回紹介した詩人・会田綱雄の詩「伝説」と、大関松三郎の詩「虫けら」でした。

 この本に記されている略歴によると大関松三郎(おおぜき・まつさぶろう)は、1933年(昭和8年)新潟県古志郡黒条村の小学校に入学、太平洋戦争に海軍志願兵として出征し南海で戦死しています。
 私にこの詩人についての知識がないため、インターネット検索をすると、この詩が収録されている詩集『山芋』がウィキペディア記事にあり、次のように書かれています。

● 以下、ウィキペディア記事『山芋』からの引用。
『山芋』(やまいも)は、教育者寒川道夫が、1932年から勤務していた新潟県古志郡黒条小学校の担任クラスで作っていた学級文集『青い空』を発表場所として、教え子の大関松三郎が書いた詩を解説・指導記録とともにまとめたもの。

 このことを知らずに、私は詩「虫けら」が詩人・会田綱雄の詩「伝説」とともに、最も心打たれる詩でした。
 作者が小学生で教師がまとめた文集の詩であることを知り、私にとって詩「虫けら」が詩「伝説」とともに最も感動する詩であることに少しも変わりはありません。
 詩は、幼心から青少年、壮年、老人まで、年齢をこえて、見つめ聴きとる心に生まれ響く、感動のうたです。いちばんその近くにいて絶えず詩を輝かせているのは子どもの瞳、子どもの心だと、私は思います。


   虫けら

              大関松三郎

一くわ
どっしんとおろして ひっくりかえした土の中から
もぞもぞと いろんな虫けらがでてくる
土の中にかくれていて
あんきにくらしていた虫けらが
おれの一くわで たちまち大さわぎだ
おまえは くそ虫といわれ
おまえは みみずといわれ
おまえは へっこき虫といわれ
おまえは げじげじといわれ
おまえは ありごといわれ
おまえらは 虫けらといわれ
おれは 人間といわれ
おれは 百姓といわれ
おれは くわをもって 土をたがやさねばならん
おれは おまえたちのうちをこわさねばならん
おれは おまえたちの 大将でもないし 敵でもないが
おれは おまえたちを けちらかしたり ころしたりする
おれは こまった
おれは くわをたてて考える

だが虫けらよ
やっぱりおれは土をたがやさんばならんでや
おまえらを けちらかしていかんばならんでや
なあ
虫けらや 虫けらや


 私も小学生のとき、先生がクラス文集を編んでくださいました。毎日配られるガリ版刷りには、クラスメートの日記や詩でいっぱいで、子ども自身が読み上げ発表しました。読むときは緊張したけれど、誇らしく恥ずかしく嬉しい気持ちにみんなの心がときめき、詩が満ちている時間でした。

 私が書き続けている詩が今も生まれてくる泉の源にあるのは、からだと知識が年月ともにどんなに変化しようと、ちっとも成長しない、あの小学校の教室いっぱいに笑い泣いた時間に友だちと伝え合った瞳の輝き、子ども心です。その大切なみんなとの時間から生まれたうたを響かせます。

  詩「河内の子どもやってん」(高畑耕治『詩集こころうた こころ絵ほん』所収)クリックで読めます。
 

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会田綱雄の詩「伝説」と、ねがい

 近代から現代の日本語の詩の本を少しずつ読み返しています。
 『愛の詩歌集』(山本太郎編著、1960年、社会思想社 現代教養文庫284)は若いとき古本屋で見つけた文庫本ですが、近視眼的ではなく、古代の記紀歌謡、万葉集、勅撰集から歌謡などまで豊かに盛り込まれて、どちらかというとそちらが好きで時折読み返していました。
 この本に収録された明治時代、近代詩以降の詩を読んで感じたことを、今回と次回に記します。

 ひとつめに気づいて嬉しかったのは、私が二十歳くらいの時に、この本で始めて知って感動した詩を改めて読み、再び感動できたことです。
 多数のなかから詩人を選びその詩を編著者が一篇ずつ選んだ本なので、当然、良い詩人や良い詩でありながら採られていないもののほうが多いと私は考えていますが、それでも一篇でも心打たれる作品にめぐり合えたら、ひとつの機会を生かせたと思えるとても幸せなことではないでしょうか。
 女性と男性のめぐり会いが偶然と相性にあやうく結ばれるからこそ、ときめきに満ちるのと似ています。
 
 その頃も現代詩をできるだけ手にとり読んでいましたが、心打たれる作品をあまり見つけられずに、索漠とした思いにいた私は、この作品に出会い「ああ、こんないい詩を書く詩人がいるんだ」と、とても素直な喜びを感じました。今回また読んで、「やっぱり、とてもいい詩だ」と思いました。
 詩人にとって、良い作品を書くこと以外に大切なものは何もないと、改めて教えてくれます。
 詩人にとって良い作品とは、自らの感動から生まれた、自ら読み返して感動する作品、子どもとして愛し続けずにはいられない作品です。
 流行や宣伝の過多上手下手で一時的にもてはやされても核に心打つ感動がない作品は、興が醒めたら捨て置かれてしまいます。作者にとってはかなしいことですが。
 読者にとって良い詩は、一度、心を感動させてくれた詩は、暗記しなくても、読み返さなくても、心のどこかに生き続けているのだと思います。
 
 この詩人のことや他の作品を、さらに広く深く知ることまではできずに、私は今日まできてしまいましたが、この一編の詩と書いた詩人に敬愛の思いを自然な気持ちとしてずっと抱いています。
 会田綱雄(あいだ・つなお、1914年・大正3年生まれ)の詩「伝説」です。

   伝説
           会田綱雄

湖から
蟹が這いあがってくると
わたくしたちはそれを縄にくくりつけ
山をこえて
市場の
石ころだらけの道に立つ
蟹を食うひともあるのだ

縄につるされ
毛の生えた十本の脚で
空を掻きむしりながら
蟹は銭になり
わたくしたちはひとにぎりの米と塩を買い
山をこえて
湖のほとりにかえる

ここは
草も枯れ
風はつめたく
わたくしたちの小屋は灯をともさぬ

くらやみのなかでわたくしたちは
わたくしたちのちちははの思い出を
くりかえし
くりかえし
わたくしたちのこどもにつたえる
わたくしたちのちちははも
わたくしたちのように
この湖の蟹をとらえ
あの山をこえ
ひとにぎりの米と塩をもちかえり
わたくしたちのために
熱いお粥をたいてくれたのだった

わたくしたちはやがてまた
わたくしたちのちちははのように
痩せほそったちいさなからだを
かるく
かるく
湖にすてにゆくだろう
そしてわたくしたちのぬけがらを
蟹はあとかたもなく食いつくすだろう
むかし
わたくしたちのちちははのぬけがらを
あとかたもなく食ひつくしたように

それはわたくしたちのねがいである

こどもたちが寝いると
わたくしたちは小屋をぬけだし
湖に舟をうかべる
湖の上はうすらあかるく
わたくしたちはふるえながら
やさしく
くるしく
むつびあう


 この詩に込められた「ねがい」は、アイヌ・ユーカラの歌声や、南海の彼方のニライ・カナイへの想いと、交わりあい、通い合っているようにも感じます。

 人の心の湖のふかいところに眠る子守唄を、思い出させてくれるのかもしれません。詩にできることがあれば、それだけではないか、それが詩にとって大切なもの、詩のゆたかさではないかと、私は思うものです。

 この詩との出会いのあと、数年後に、表現の仕方は異なっていても核に込められた「ねがい」が、この詩と響きあう詩を私も生みました。「ねがい」が響きあいますようにと想いつつ、ここに木魂させます。

   詩「ほら貝」  (高畑耕治詩集『海にゆれる』から)。クリックでお読み頂けます。

 次回は、この文庫本で出会い感動したもう一編の詩を紹介します。


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『脱原発・自然エネルギー218人詩集』に参加しています

 『脱原発・自然エネルギー218人詩集』が、コールサック社から発売されました。
 日本語詩と英語詩を合本にし、世界へ発信しようとする強い意思と願いが込められた詩集です。
 私も参加しています。
 ひとりの読者としても、感じとり、考えたいと思っています。

   『脱原発・自然エネルギー218人詩集』(日本語・英語_合体版)

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新しい詩「いま、ここで」をHP公開しました

 私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「いま、ここで」を、公開しました (クリックでお読み頂けます)。

   詩「いま、ここで」

お読みくださると、とても嬉しく思います。

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新しい詩「短い、いのち、うた」をHP公開しました

 私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「短い、いのち、うた」を、公開しました (クリックでお読み頂けます)。

   詩「短い、いのち、うた」

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人間味のにじむ作品。『訳詩集(二)』

 『日本の詩歌28 訳詩集』(解説・鑑賞は河盛好蔵、安藤一郎、生野幸吉。1969年、中央公論社)を読み、西欧詩の翻訳と、明治以降の日本の新体詩、文語定型詩、口語自由詩のかかわりについて考えています。
  著名な翻訳詩やとても良い詩がいちめんに咲き乱れている野原を散策できたので、心に焼きついた詩を少しだけ紹介します。

 まず、堀口大学訳詩集『海軟風] (1954年昭和29年)の収録作品から、アリエット・オドラ(1897‐1962)の詩を一篇。
 私は今回読むまでこの詩人と詩を知りませんでしたが、もう一篇の詩「あたしたちは湖の……」とともに、とても良い詩だなと感じて好きになりました。

  父もなく……  アリエット・オドラ 堀口大学訳

父もなく母もない小さなものたちよ、
あなた達はまるっきり孤児(みなしご)だとも言ひきれない、
たとへ地の上に、ひとりぼつちのやうに見えはしても。
口にこそは出さないが、ひとりの人間が
今この日ぐれ時、あなたたちの為めに心を痛め
あなた達をいとしがり、あなた達を抱きかかへ
眠らせて、揺籃の中にねかせてあげ
麻のシイツをかけてあげ
白いお舟のやうにして、夢みごこちにしばらくみとりをしてあげて
あなた達の手の中に何やらものを握らせて
さて遠のいて行くのです。
それは寝ざめに、あなた達が見出すもの
気が向いたら毀(こは)してもかまはない
面白まぎれに傷けても、明日(あす)はまたなほして貰へる便利な、素敵な玩具(おもちゃ)です。
あそぶがよい、それはあなた達の為めのものだから
破いてごらん、何でもないと気づくでせう。

使ふがよい。それは心なの。それはあたしの心なの。

 もう一つの訳詩集はとても独特な、井伏鱒二の『厄除け詩集』(1937年昭和12年)です。私は漢詩をもっと理解したいと思いつつ、少しもできていませんが、この訳詩集を読むと、誰でも好きになれる気がします。

  勧酒(酒を勧(すす)む) 于武陵(うぶりょう810‐?) 井伏鱒二訳

コノサカヅキヲ受ケテクレ
ドウゾナミナミツガシテオクレ
ハナニアラシノタトヘモアルゾ
「サヨナラ」ダケガ人生ダ

 翻訳詩は訳詩者の人間味が滲んだしている作品だということをよく教えてくれます。

 次回からは、これらの優れた翻訳詩の影響を受けながら生み出されてきた日本の、新体詩以降の近代詩を生み出してきた詩人たちの歩みを見つめていきたいと考えています。

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新体詩と翻訳詩。『訳詩集(一)』

 『日本の詩歌28 訳詩集』(解説・鑑賞は河盛好蔵、安藤一郎、生野幸吉。1969年、中央公論社)を読み、西欧詩の翻訳と、明治以降の日本の新体詩、文語定型詩、口語自由詩のかかわりについて考えています。
 新体詩は1882年(明治15年)の「新体詩抄』を発端とするとされていますが、その前後にだされたキリスト教の讃美歌や、1889年(明治22年)の新声社同人(森鴎外他訳)『於母影(おもかげ)』の翻訳詩の響きと情感の清新さに、心をふるわせ新しい表現をさがして創作に駆り立てられた若い詩人たちが生み出していきました。まだ百数十年前のことです。
 北村透谷が時代の先頭を駆け抜けた時代です。(「愛しい詩歌 北村透谷の詩」クリックして読めます)。

 たとえば『於母影(おもかげ)』所収のゲーテ『ミニヨンの歌』の各詩連末の微妙に変化するリフレイン、

   其三(6、7行目)

かのなつかしき山の道をしるやかなたへ
君と共にゆかまし

 言葉の流れが美しく、薄田泣菫(きゅうきん)が影響を受けたのもわかる気がします。

 またシェイクスピア『オフエリアの歌』の、北村透谷や島崎藤村が好んで口ずさんでいたという詩句、

(冒頭2行のみ)
いづれを君が恋人と
わきて知るべきすべやある

 古風な文語ではあっても懐かしく通じ合う思いもします。

 このような新しい詩の息吹きのなかから、や藤村の『若菜集』が1897年(明治30年)に生れています。
(「島崎藤村 新しい詩歌の時代」クリックして読めます)。

 この『翻訳集』には他に、上田敏訳『海潮音』、永井荷風訳『珊瑚集』、西条八十訳『白孔雀』、有島武郎訳『草の葉』、堀口大学訳『月下の一群』、井伏鱒二訳『厄除け詩集』など、翻訳の日本語そのものが作品として個性的に響いている訳詩集が束ねられとても豊かな内容でした。
 今回はあと一輪『月下の一群』のちいさな花を見つめます。

  地平線  マックス・ジャコブ(1917の散文詩集からの短詩) 堀口大学訳。

彼女の白い腕が
私の地平線のすべてでした。

 著名な翻訳詩やとても良い詩がいちめんに咲き乱れている野原を散策できたので、次回も心に焼きついた詩を少しだけ紹介します。


 ☆ お知らせ ☆
 『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2100円(消費税込)です。

 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩の響きあいをぜひご覧ください。

    こだまのこだま 動画
  
 ☆ こちらの本屋さんは店頭に咲かせてくださっています。
 八重洲ブックセンター本店、丸善丸の内本店、書泉グランデ、紀伊国屋書店新宿南店、三省堂書店新宿西口店、早稲田大学生協コーププラザブックセンター、あゆみBOOKS早稲田店、ジュンク堂書店池袋本店、紀伊国屋書店渋谷店、リブロ吉祥寺店、紀伊国屋書店吉祥寺東急店、オリオン書房ノルテ店、オリオン書房ルミネ店、丸善多摩センター店、くまざわ書店桜ケ丘店、有隣堂新百合ヶ丘エルミロード店など。
 ☆ 全国の書店でご注文頂けます。
    発売案内『こころうた こころ絵ほん』
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詩は花。門田照子『ローランサンの橋』

 詩人の門田照子さんが、とても心に響くエッセイ集『ローランサンの橋』を6月にコールサック社から出版されました。
 幼年時代から現在まで生きていらした歩みを、その時々の心で、目線の高さで、細やかに綴っていらっしゃいます。少女時代の福岡大空襲の体験も、その時の少女のままの心で語られていらっしゃって、心打たれました。
 私の両親と同じ世代の方ですので、父や母が生きてきた時、今と、どうしようもなく重なり、ああ、きっとこんなふうに感じていたんだ、こんな時代を生きてきたんだと、心深く感じられたことが、私にとってとても大切に思えます。

 つぎに詩人として詩について、強く共感したことを二つ紹介します。
 まず、詩人の岡部隆介さんを紹介されているエッセイです。少し引用させて頂きます。(同書「岡部隆介『摩笛』―抒情詩を生きた孤高の詩人」216頁から)。

  (略)詩人は現代詩の潮流から離れ、自身の信ずる抒情詩を孤独に書き続けたのだった。西日本新聞に掲載さ れた詩人のエッセイに〈詩は花である〉という一文があり、「現代詩は難解でよくわからん……」と始まり、 (略)結びは「詩は木でいえば花でいいのだ。新を追うあまりに奇を衒うな。気品を落とすな。くりかえしていう。詩は花だ。花でいいのだ。」との主張がある。
  また他日、同新聞に「現代詩は言葉と表現の実験を重ねてきたが、しょせん西欧のまね事。(略)」「日本に は西欧とは別の詩学がある。万葉集、古今和歌集、芭蕉。この抒情の伝統を詩は受けつぐべきだし、私はそれを目指してきた。」などの発言記事が掲載されている。

 私はこの言葉は、私の思いそのものなので、とても感銘しました。
 日本の戦後の現代詩観は、異常に歪んでいます。〈詩は花〉だということを忘れ、奇を衒い、抒情の伝統を受け継がない者だけを、仲間内で褒め合い、偏狭な視野と狭く鈍い心ししかない吉本隆明をはじめとする批評屋を大御所とあがめてきたから、文学が好きな思いと感性をもった人にさえ、もう相手にされません。
 文学、詩が、言葉の花が好きな人が詩人、当たり前のことを、感じ伝える事のできずに奇を衒う吉本隆明に代表される批評屋もジャーナリズムも有害です。
 どこに咲いていようが美しい言葉の花を、世俗のしがらみや商売づき合いなんかにおかまいなく、美しいと感じない人、伝えられない人、伝えようとしない人は、どんなに頭が良く議論上手で言葉巧みで世渡り上手でも、詩人ではありません。

 最後にもうひとつ。著者に対して詩の師の高田敏子さんがふたりきりのときに語ったという言葉は、詩への真摯さと、著者へのきびしさとやさしさが込められたすごい言葉だと打たれました。「高田敏子を偲んで―追悼 高田敏子」(P222)

  (略)その日、先生と二人になったわずかの間に、私は先生からきついお叱りを受けた。娘の所へ行こうと気もそぞろのうちに、締切りへの間に合わせに送った次号の作品についてであった。
  今度のあなたの作品は佳作にもならない、と先生はおっしゃった。詩はコトバ、詩は志を高く、思いを新し  く、生の価値観を確認して書くこと、自分の言葉に責任を持たなければ……と、ひたと凝視められて、私はただ 頭を垂れていた。

 このように厳しい本当のことを伝えられる詩人を私はすごいと思い、心から尊敬します。そしてその言葉から逃げず受けとめ、忘れず抱き続けた詩人も。
 このような心の交わりを生んでくれる本、詩と人を好きに思える本、人の心の思いの深さに気づかせてくれる、『ローランサンの橋』はあたたかくとてもゆたかな本です。


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こだまを見つけた。田川紀久雄詩集『いのちとの対話』(二)。

 詩人の田川紀久雄さんが新しい詩集『いのちとの対話』(2012年8月、漉林書房、本体2000円)を出版されました。この詩集に呼び起こされた私の詩想を前回記しました。
 今回は、詩人の肉声そのものを聴き取りたいと願います。

 すべての本の読み方は読者にゆだねられています。
 私にとってこの本は、一篇一篇の詩作品が24篇束ねられた詩集として読書するより、24の詩想の流れ、アフォリズム、想念の24の変奏曲として心で聴きとりたい本だと感じます。同じ主題、旋律、叫び、問いかけが川面に浮かび沈み流れてゆきます。いのち、生、死、愛、他者の死をきらめかせながら。
 私は一読者として、せせらぎを聴きとりたい、浮かび沈み流れ去る思いにこだましたいと、心の耳を澄ませます。この詩集から聴こえてきた、私の心に強くこだました田川さんの歌をここに響かせます。

 読者の方ひとりひとりの心に響く言葉はちがいます、ちがってよいと私は考えます。ですから、私の心がこだました田川さんの詩句のどれかに心ふるえた方は、詩集を手にとりご自分の心のこだまを見つけていただけたら嬉しいです。
 心の響きあいは心の豊かさです。樹木かおる森に生れます。こだまは心が小鳥になりさえずりだす歌だからです。

 ☆ 以下は、田川紀久雄詩集『いのちとの対話』からの引用です。
 「 」カッコ内が詩のタイトル、詩行中の、記号/は改行をあらわしています。詩行が複数行離れている場合や異なる詩連の詩行の場合は行を変えて行は開けずに引用します。

「いのちと共に」
亡くなっていったいのちは/生きているものだけが受け継ぐことができる
亡くなった魂たちも/いつも私達の周囲を取り囲んでいる/いのちは多くの眼に視えぬものに包まれている

「黒い津波」
死者と生きている者とを繋ぐのは/生きている者の死者への想いしかない/想い出すことによって/死者もまだこの世に生きていられる
いまはまず生きている者たちのために/いのちの泉をわかち合うことだ/それが死者に対する弔いにつながる

「愛おしきものへ」
哀しみや絶望は愛し合う者を失った時に訪れる/まるで宇宙空間に一人だけ放り出された気分になる/引き裂かれた痛みが全身を襲う/孤独を突き破る/どこからも音が聴こえてこない/無音の空間に突き落とされる
哭くだけ泣くしかない/笑う奴は笑うがよい/哭きたいだけ思う存分泣くしかない

「いのちとの対話」
哀しみがあるから/あなたの言葉を受け止められる/いのちはひたすらあなたの心の痛みに寄り添う
祈りの心が宇宙の中心に向けて光を放つ/いま苦しみから逃れることが出来なくても/あなたの心はきっと救われるに違いない

「笑み」
笑みはお互い同士の愛の交換なのだ/そしてお互い頑張って生きていこうという合図でもある
あの震災では多くの人達がなくなったのではない/ひとり/ひとり/の/いのちが亡くなっていった/ひとり/ひとり/の笑顔があったはずだ/その時の想い出を忘れてはならない

「笑いはいのちの宝」
笑顔で涙を流した時の顔は美しい/顔が美しい時は瞳も輝いている

「すてる」
すてる/すてる/みんなすてて/この身もなくなる
失われたいのちを/生きているものが拾う

「こころといのち」
いのちを失っても肉体は/別ないのちに変わって甦る
そう思うことによって/あらゆる生き物を愛おしく思う/特に猫たちと遊んでいる時/かつての友達のような感じになる

「永遠は今にしか存在しない」
死んでから火葬されるのはとても怖いと思う
哀しみだけが/この宇宙を満たしている

「魂明り」
いのちは生まれるのでもなく/死ぬのでもない/この世の光の中で戯れているだけだ

「混じり合ういのち」
死ぬことも生の一部なのかもしれない/そう思うとどんなに病に侵されても/病と向き合って生きていられる
卑小ないのちに無限の大きさを痛感する
生まれるいのち/死にゆくいのち/それが一体となってこの宇宙を支えている

「天使の笑い聲」
死ぬときは/「じゃ いってくるよ」/と笑みを浮かべて答えたいものだ

「いのちの絆」
自分のいのちと引き換る覚悟で/相手の哀しみと共存しあう

「愛の破片」
何もしなくてもこの天空の下で生きられる歓びを抱きしめたい

「いのちの宝」
かけがえのないもの/それが愛の心である/初恋とはそのような思いの心である
愛しい人を失ったとき/たくさんの涕が流れ/それは愛しいものへの涕でなく/自分への哀しみの涕である

「波の音」
何ものも存在しない/何ものもうまれなかったし/何ものも失ったのでない/時の経過というものはつねに朧なものにしかすぎない

「いのちが祈りを……」
この世はあまりにも多くの苦しみに満ちている/いくら祈りを捧げても/どうすることもできない/でも祈らずにはいられない

「寄り添う」
大人たちは嘘をつくことで/小さないのちが破壊されてゆくことを黙認する
黙っていてはいのちを救うことはできない

「聲(こえ)のいのち」
いのちは多くのいのちと共生することを祈る
心の苦しみそのものは救えないが/いのちそのものには寄り添うことができる


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tag : 詩人 高畑耕治 詩集 こころうた こころ絵ほん 田川紀久雄

笑顔で流す涙。田川紀久雄詩集『いのちとの対話』(一)。

 詩人の田川紀久雄さんが新しい詩集『いのちとの対話』(2012年8月、漉林書房、本体2000円)を出版されました。この詩集に呼び起こされた私の詩想を記します。

 詩集の表紙は画家でもある田川さんご自身の絵で飾られています。優しい筆遣いとぬくもりある色合いの、哀しい顔の絵です。この詩集そのもののように、微笑みながら泣いていて、美しいと感じます。

 詩、という言葉に思い浮かべるものは人によって様々です。言葉により表現される詩と範囲を限定しても、どのような言葉の姿・形を詩と感じ考えるか、この問いにおそらく正解はありません。個性・感性によって違うのが自然で良いと私は思います。

 田川さんの詩集『いのちと対話』は、言葉による表現としての詩の、ある意味で極北に位置します。
 なぜなら、この詩集の言葉に、詩を感じとれない似非詩人たちも多くいるだろうと思える、ひとつしかない星のかがやきだからです。もちろん、私はこれこそ詩のひかり、響き、北極星のよう、と感じる者だから、この文章を書いています。敬愛の思いを込めて、今このような詩を書ける詩人は田川さんだけではないかと、私は思います。(あくまで私の出会えた狭い範囲でのことです、まだ知らないところで書かれている方はいらっしゃるかもしれません)。

 私はこの詩集の詩句に、宮澤賢治の「雨ニモマケズ」の言葉に似通う響きを感じます。ニーチェのアフォリズムにも近しい響きがあります。
 手記、アフォリズム、思索集、思集と呼び変えられるかもしれません。でも詩の本性は呼称にはありません。「雨ニモマケズ」に詩を感じとれる方は、ここに星のひかりを見つけるはずです。
 
 文学者は読者の心に作品をより強く印象づけようと、一般的な生の時間にはない時間、あらすじ、起承転結、問いと答え、出発点と到達点、クライマックスなどの虚構を創作します。それが創作芸術の本質です。
 たとえば宮沢賢治も、新しい詩形や言葉の表現、感性をより鮮烈に伝える書き方を工夫し模索し作品化しています。芸術意識のとても高い詩人であることを詩集『春と修羅』が語っています。
 その賢治が死の直前にノートに書きつけたのは「雨ニモマケズ」だったのはなぜでしょうか。
 言葉の音楽と言葉の絵を作品とするだけの時間が残されていないと感じたのか、死を目の前にして虚構の芸術世界を作品とすることにもう関心を失ったのか、推測することしかできません。けれども、彼が書きつけた心打つ言葉だけは遺りました。

 田川紀久雄さんは数年来、末期癌の闘病をされながら詩を書かれています。
 芸術作品として美しい音楽性豊かな独自の詩世界を、闘病前に形作られています。(田川紀久雄の詩集『かなしいから』 (1) (2) クリックして読めます)。画家であることからも造形意思の強い芸術家であることがわかります。
 末期癌の告知を受け入院され闘病をはじめられてから、田川さんの詩ははっきり変わったと感じます。
 最近の作品には、言葉の形象化、作品の形式を整えることへの意思、執着はきわめて弱まっています。ちがう質の詩を、表現を選んでいるからです。いのちをありのまま直接的な言葉で肉声で伝えること、何より大切で身を削ってでもやり遂げたいのは、このことにつきるからです。
 生と死の境界の間際にいる自分のいのちをみつめて、自分自身に、自分と近しい場にいる死にそうな人に、死んでしまった人に、生きている人に向けての、吐きださずにはいられない詩魂、叫び、願い、祈り、愛がどうしようもなく泉のように込みあげてきて、この詩集となり、歌となり、微笑みながらとめどなく流れる涙になり、ふるえています。

 なぜお前にわかるのか、と問われたら、私からも精神的な病いとの境界で『死と生の交わり』が生まれたからです。この最初の本は『海にゆれる』以降の、言葉による詩世界、芸術として創作した詩集とは異なる姿だけれど、私の詩だと、かけがえない言葉だと、誰よりも強く思っているからです。田川さんはこの本をわかってくださいました。

 言葉で詩を形作る、芸術作品を彫たくし完成させるには試行錯誤し推敲する時間が不可欠です。創作とは生まれ来るのを待ち望みながら生み出すものだから、本来的にはいつ完成できるか創作者にも分かりません。
 だから少なくとも完成するまではおそらく生きていられるだろう、生きようと望めば生きられるだろう、最低限の時間はまだあるだろうという、生の継続を確かにあるものと感じられる信頼感のようなものが、芸術創作には必要です。

 まだまだ自分が死にはしない、生き続けていられるのが当たり前という感覚のひとは死にも生にも鈍感です。そのようにしていられるひとには、善悪の問題ではなく、死んでしまったひとの悲しみは切実にはわからない、わかったふりをするのは嘘、わかりたいという願いを抱くことだけが偽りではないと私は思います。
 自分が死ぬ間際にいる、いつ死ぬかも知れないという時、死んでしまったひとへの、痛みへの思いから、嘘偽りが洗い流されます。そのとき、表現者として何をどのように伝えられるかという残された選択肢は限られ、選ぶ言葉の質は変わります。問いかけ、迷い、恐れ、おののきがにじみ、死と生を凝視する言葉は痛く、宗教に近づきます。

 けれど田川さんの詩は、特定の宗教の信者としての確固とした悟りや真理を唱えるものではありません。信仰の手前で、近い位置で、人間のありのままの姿で、裸のままさらされています。とてももろい、人間のいのちそのもののようです。だから真実が、微笑みながら流れる涙にひかります。

 田川さんがこの詩集の作品を書かれた時間は、私の父が闘病し亡くなった時間と重なり、読むたびに私の心にその時間と痛みが流れます。この本の詩句を読み取り、心をこだまさせながら、私は父のこだまを探しています。生きていた父、境界にいた父、亡くなった父、今ある父を思わずにいられません。
 父のあの顔が焼き付いた私には、この微笑みと涙には嘘がないと、わかります。この本の顔、田川さんの絵を見ればわかります。

 次回は、この詩集から、強く心に響いた詩を紹介します。


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戦争を厭う歌。『日本歌唱集』(五)

 『日本の詩歌 別巻 日本歌唱集』(1974年、中公文庫)を読み、歌と詩について考えてきました。

 前回は富国強兵のスローガンで明治政府が押し進めた戦争とその時代の歌を考えました。その後日本は、日清戦争(1894年明治27年)、日露戦争(1904年明治37年)、第1次世界大戦(1914年大正3年~1918年)、第2次世界大戦(1937年昭和12年~1945年)と絶え間ない戦争の時代に突入しました。

 戦争だらけの時代に多くの軍歌、軍隊歌謡が作られ、歌われました。歌詞を読んで深く考えさせられる歌から、今回は特に反戦の思い、戦争を厭(いと)う思いが響く歌を引用し考えます。

  ラッパ節   伝添田唖蝉坊 1900年明治33年(歌詞3番、4番)

名誉名誉とおだてあげ
大切な伜(せがれ)をむざむざと
砲(つつ)の餌食(えじき)に誰がした
もとの伜にして返せ トコトットトットトットトット

子供の玩具(おもちゃ)じゃあるまいし
金鵄勲章(きんしくんしょう)や金平糖(こんぺいとう)
胸につるして得意顔
およし男がさがります トコトットトットトットトット

 ひろく歌われた「戦友」には、戦争を強制された庶民の悲しみと嘆きがにじんでいます。反戦の歌ではなくても、厭戦、戦いを厭う率直な心を聞き取りたいと私は思います。
 ただそのとき同時に、この国の庶民だけでなく、相手国の庶民の悲しみと嘆きを思う心を喪ってはいけない、為政者に奪われてはならないと思います。

  戦友   真下飛泉 1905年明治38年(1番、11番、12番)

ここは御国を何百里 離れて遠き満州の
赤い夕日に照らされて 友は野末の石の下

肩を抱いては口ぐせに どうせ命はないものよ
死んだら骨(こつ)を頼むぞと 言いかわしたる二人仲(なか)

思いもよらず我一人(われひとり) 不思議に命ながらえて
赤い夕日の満州に 友の塚穴(つかあな)掘ろうとは

 次の歌は、幼い者の悲しみ、厭戦の意思を、短い歌詞に込めよく表現していると私は思います。

  もずが枯木で   サトウ・ハチロー 1935年昭和10年(歌詞2番、3番)

みんな去年と同じだよ
けれど足(た)んねえものがある
兄(あん)さの薪(まき)割る音がねえ
ばっさり薪わる音がねえ

兄さは満州へいっただよ
鉄砲が涙で光っただ
もずよ寒くも鳴くでねえ
兄さはもっと寒いだぞ

 『歌唱集』を通して歌と詩をみつめてきましたが、最後に与謝野晶子の詩を引用します。読み返してみて、やはり思いの深さを言葉とする表現力の高さと強さを感じます。
 作曲者の吉田隆子さんが戦時中に、この言葉だけであっても優れている詩に曲をつけることを構想し敗戦後の1949年昭和24年に発表されたと紹介されています。
 その曲を私は知らず、また独立して形作られた言葉の詩に曲をつけることは、とても難しいことだと思います。でも、この言葉を歌として伝えたいと戦争のさなかに考えたひとりの女性の心に、深い共感の思いを抱かずにはいられません。

 詩と歌が、偽りのない心を伝え合うもの、願いをささえ励ます大切なものとして響き続けることを、私は願ってやみません。

  君死にたもうことなかれ   与謝野晶子

ああおとうとよ 君を泣く
君死にたもうことなかれ
末に生れし君なれば
親のなさけはまさりしも
親は刄(やいば)をにぎらせて
人を殺せと教えしや
人を殺して死ねよとて
二十四までを育てしや。

堺(さかい)の街のあきびとの
旧家をほこるあるじにて、
親の名を継ぐ君なれば、
君死にたもうことなかれ。
旅順の城はほろぶとも、
ほろびずとても 何事ぞ
君は知らじな あきびとの
家のおきてに無かりけり

君死にたもうことなかれ
すめらみことは、戦ひに
おおみづからは出でまさね
かたみに人の血を流し
獣(けもの)の道に死ねよとは
死ぬるを人のほまれとは
大みこころの深ければ
もとよりいかで思(おぼ)されん

ああおとうとよ 戦いに
君死にたもうことなかれ
過ぎにし秋を父ぎみに
おくれたまえる母ぎみは
なげきの中に いたましく
わが子を召され 家を守(も)り
安しと聞ける大御代(おおみよ)も
母のしら髪(が)は増さりぬる

暖簾(のれん)のかげに伏して泣く
あえかにわかき新妻(にいづま)を
君忘るるや 思えるや
十月(とつき)も添わで別れたる
少女(おとめ)ごころを思いみよ
この世ひとりの君ならで
ああまた誰を頼むべき
君死にたもうことなかれ


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田川紀久雄・坂井のぶこ7月14日(土)朗読会のお知らせ

 詩人の田川紀久雄さんと坂井のぶこさんが、朗読会を開かれます。
今回は私も参加させて頂き少し読ませて頂く予定です。
お近くでご関心をもっていただけましたら、お気軽にお立ち寄りください。

第6回いのちを語ろう 

日時 2012年7月14日(土)開始14 時より。(開場13時45分)。
場所 東鶴堂ギャラリー(鶴見)

横浜市鶴見区鶴見中央4‐16‐2 田中ビル3F
(JR・鶴見駅より徒歩5分、東急・鶴見駅より徒歩2分)。
料金 2000円 予約TEL044‐366‐4658詩語り倶楽部。

田川紀久雄詩集『いのちとの対話』より、田川紀久雄。
坂井のぶこ詩集『浜川崎から』より、坂井のぶこ。

ゲスト 高畑耕治詩集『こころうた こころ絵ほん』より、高畑耕治。

朗読をなさりたい方は、受付にてお申し出ください。

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tag : 詩人 田川紀久雄 坂井のぶこ 高畑耕治 詩集 こころうた こころ絵ほん

戦争と賛美歌。『日本歌唱集』(四)

 『日本の詩歌 別巻 日本歌唱集』(1974年、中公文庫)を読み、歌と詩について考えています。
 前回までまず、わらべ歌、小学唱歌、童謡というとても楽しくなる歌をみつめましたが、これらの歌が生まれた時代について対照的にどうしても強く感じることがあります。ほとんど絶え間なく日本が戦争をしていたことです。(アメリカはその後も相変わらず戦争ばかりしていますが。)

 幕末、明治維新(1868年明治元年)は内戦でした。さらに西南戦争(1877年明治10年)を経て富国強兵を掲げる明治政府は国家間の戦争へ突き進み、日清戦争(1894年明治27年)、日露戦争(1904年明治37年)、第1次世界大戦(1914年大正3年~1918年)、第2次世界大戦(1937年昭和12年~1945年)、戦争だらけです。

 歌は時代を映し出し多くの軍歌、軍隊歌謡が作られ、歌われました。歌詞を読んで深く考えさせられる歌をまず、引用します。

  敵は幾万  山田美妙斎 1891年明治24年(歌詞3番)

破れて逃ぐるは国の恥
進みて死ぬるは身の誉れ
瓦(かわら)となりて残るより
玉となりつつ砕けよや
畳の上にて死ぬことは
武士のなすべき道ならず
むくろを馬蹄(ばてい)にかけられつ
身を野晒(のざらし)になしてこそ
世にもののふの義といわめ
などて恐るることやある
などてたゆとうことやある

 作詞者は新体詩で著名ですが、日清戦争前の明治のこの時から既に「玉となりつつ砕けよや」、玉砕の思想があったことに、その根深さを思います。
 以前、本居宣長が作られた虚像とは異なり玉砕を否定していたことを書きました。(戦争と特攻隊と本居宣長 クリックでお読み頂けます)。
 本物の文学者は虚飾の国家スローガンの扇動家にはけしてならない眼と志を持っていると、私は考えます。

 キリスト教は、1874年明治7年にようやく解禁されました。同時にプロテスタントの賛美歌集が編纂されました。明治の詩歌の開拓者たち、北村透谷や島崎藤村はその新鮮な歌声の響きに影響を受けました。
 私は両親がクリスチャンですので幼年時の日曜学校で好きになった賛美歌は今も心にあり、読むと心にメロディーが流れ出します。そのひとつを引用します。

  主われをあいす   賛美歌 

主われをあいす 主はつよければ
われよわくとも おそれはあらじ
  わが主イエス わが主イエス
  わが主イエス われをあいす

 禁教は解かれても、キリスト教の信仰は、明治政府が民心に浸透させようとする儒教、神道、国家思想と、相容れません。1891年明治24年に内村鑑三が教育勅語奉読のさい礼拝を拒否した御真影不敬事件をはじめ、信仰への抑圧が、社会運動の弾圧と同時に行われました。
 信仰や思想の自由という個々人の基本的な人権が認められていない社会だったことを忘れてはいけないと私は思います。

 日本の最初の普通選挙実施は1928年昭和3年ですから、それまでは幕末来の内戦と政争で権力を承継した少数の男性の為政者と資産家が、大多数の庶民に戦争を強制したというのが事実です。
 女性の参政権は1945年昭和20年敗戦して初めて認められたのですから、あくまで戦争の被害者だと私は思います。
 どのような大義による戦争であってもいちばんの被害者は幼い子どもたちと、「殺せ、殺されろ」と強制される若者たちです。

 次の歌は信仰に基づく歌ではありませんが、戦争をテーマにしていながら、国や軍隊といった組織の歯車としてではない、生きているひとりの人間を感じさせる心があり、「あだ(仇・かたき)までも」という言葉に、少しだけ救われる思いがします。

  婦人従軍歌   加藤義清 1894年明治27年(4番、5番)

真白に細き手をのべて 流るる血汐(ちしお)洗いさり
まくや包帯白妙(しろたえ)の 衣の袖はあけにそみ

味方の兵の上のみか 言(こと)も通わぬあだまでも
いとねんごろに看護する 心の色は赤十字

 次回もこの『歌唱集』を通して、続く時代の戦争と歌、反戦の歌をもう少し見つめます。


 ☆ お知らせ ☆
 『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2100円(消費税込)です。

 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩の響きあいをぜひご覧ください。

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 八重洲ブックセンター本店、丸善丸の内本店、書泉グランデ、紀伊国屋書店新宿南店、三省堂書店新宿西口店、早稲田大学生協コーププラザブックセンター、あゆみBOOKS早稲田店、ジュンク堂書店池袋本店、紀伊国屋書店渋谷店、リブロ吉祥寺店、紀伊国屋書店吉祥寺東急店、オリオン書房ノルテ店、オリオン書房ルミネ店、丸善多摩センター店、くまざわ書店桜ケ丘店、有隣堂新百合ヶ丘エルミロード店など。
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創作童謡。『日本歌唱集』(三)

 『日本の詩歌 別巻 日本歌唱集』(1974年、中公文庫)を読み、歌と詩について考えています。
 この本に収められた歌の対象期間は、江戸時代からの古謡を含め、1968年明治元年から1970年(昭和45年)くらいまでです。
 この本を読んで、私がいちばん楽しく懐かしく心ほがらかに感じた歌は、小学歌唱と童謡でした。
 今回は大正元年(1912年)、約100年前の歌からみつめなおしてみます。

 児童雑誌『赤い鳥』や『金の船』などが創刊されたこの時代に次々と発表された創作童謡は、いま歌詞を読み返してみても、とても魅力にみちてみます。子ども言葉を自然にとりいれ、子どもの目の高さで歌われていると思います。その良さが良く伝わってくる私の好きな童謡をまず引用します。

  靴が鳴る   清水かつら 1919年大正8年 (1番)

お手(てて)つないで 野道を行けば
みんなかわい 小鳥になって
唄をうたえば 靴が鳴る
晴れたみ空に靴が鳴る

  春よ来い   相馬御風 1933年大正12年 (1番)

春よ来い 早く来い
あるきはじめた みいちゃんが
赤い鼻緒(はなお)の じょじょはいて
おんもへ出たいと 待っている

 このほかにも、歌詞を読むだけでメロディーが浮かんでくる、魅力に満ちた歌を、画家も詩人も競うように発表しています。そのなかから、私が好きだな、と感じるものを一輪ずつ摘んで花束にしてみます。
 作詞者、「童謡名」、(歌詞の冒頭部分)の順にたばねます。

清水かつら「雀の学校」(ちいちいぱっぱ ちいぱっぱ)。
北原白秋「赤い鳥小鳥」(赤い鳥 小鳥/なぜなぜ赤い)。「五十音」(あめんぼ赤いな ア イ ウ エ オ)。
      「あめふり」(あめあめ ふれふれ かあさんが)。
野口雨情 「しゃぼん玉」(しゃぼん玉とんだ)。「七つの子」(烏 なぜ啼くの)。
      「赤い靴」(赤い靴 はいてた 女の子)。 「兎のダンス」(ソソラ ソラ ソラ 兎のダンス)。 
      「証城寺の狸囃子」(しょう しょう しょうじょうじ)。
三木露風 「赤蜻蛉」(夕やけ小やけの あかとんぼ)。
青木存義 「どんぐりころころ」(どんぐりころころ どんぶりこ)。
加藤まさを「月の砂漠」(月の砂漠をはるばると 旅の駱駝がゆきました)。
中村雨紅 「ゆうやけこやけ」(ゆうやけこやけで 日が暮れて)。
蕗谷虹児 「花嫁人形」(きんらんどんすの 帯しめながら)。
西条八十 「かなりや」(唄を忘れたかなりやは 後ろの山に棄てましょか)。

 なんてきれいなんだろう、という思いとともに気づくのは、歌は良く知っているけれど作詞者名は知らなかったということです。詩人として私は、作品が読まれ続けることを何より嬉しく思いますので、100年たっても子どもたちに歌われ続けている作詞者たちはきっと幸せだと思います。
 
 今回は最後に約50年前に生まれた、とてもいい歌詞の歌を引用します。作詞者はアンパアンマンでとても著名な方です。
 人間以外の生き物も「ともだちなんだ」とアイヌのユーカラのように当たり前のことだと言っている、この歌詞を私はとても好きです。自分のほっぺをちぎって食べさせてあげるアンパンマンの作者ならではと、詩人として敬愛の思いを抱いています。

  手のひらを太陽に やなせ・たかし (1961年昭和36年)

ぼくらはみんな生きている
生きているから うたうんだ
ぼくらはみんな生きている
生きているから 悲しいんだ
手のひらを太陽に すかしてみれば
まっかに流れる ぼくの血潮
みみずだって おけらだって あめんぼだって
みんなみんな 生きているんだ
ともだちなんだ

ぼくらはみんな生きている
生きているから わらうんだ
ぼくらはみんな生きている
生きているから うれしいんだ
手のひらを太陽に すかしてみれば
まっかに流れる ぼくの血潮
とんぼだって かえるだって みつばちだって
みんなみんな 生きているんだ
ともだちなんだ

 二回にわたり童謡を楽しくとりあげました。次回はこの歌唱集に深い影をおとす戦争をみつめ考えます。


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小学唱歌と童謡。『日本歌唱集』(二)

 『日本の詩歌 別巻 日本歌唱集』(1974年、中公文庫)を読み、歌と詩について考えています。
 この本に収められた歌の対象期間は、江戸時代からの古謡を含め、1968年明治元年から1970年(昭和45年)くらいまでです。
 この本を読んで、私がいちばん楽しく懐かしく心ほがらかに感じた歌は、小学歌唱と童謡でした。
 
 今回は明治末(1912年)頃までの歌、今からおおよそ200年から100年前までの歌をみつめなおしてみます。

 最初に誰もが口ずさめる古謡、短い歌詞ですが、情景が色鮮やかに想いを染めてくれます。

  さくら    日本古謡 (1番)

さくら さくら
野やまも里も 見わたすかぎり
かすみか雲か 朝日ににおう
さくら さくら 花ざかり

 もうひとつ、誰もがいちどは聞きながらまどろんだ歌。ねんねん、ねんね、不思議なぬくもりある響きです。

  江戸子守唄   東京 (1番)

ねんねんよい子だ
ねんねしな
坊やはよい子だ
ねんねしな

 おなじ子守歌でも、奉公に出されたまだ幼さの残る女の子の悲しみが深く痛く心に沁みる歌もまた、歌い継がれてきました。

  五木の子守歌   熊本 (3番、4番、5番)

おどんが打死(うっちん)ちゅうて
誰(だい)が泣いてくりょか
裏の松山蝉(せみ)が鳴く

おどんが打死(うっちん)ちゅうたば
道端(みちばた)いけろ
通る人ごち花あげろ

花はなんの花
つんつん椿(つばき)
水は天から貰(もら)い水

 次にわらべ歌をひとつ。とても短い歌詞ですが、「ホーホー」とのばす音も、「あっち」と「こっち」と普段着の言葉も素朴な肌触りを感じる響きです。  

  ホーホー蛍こい わらべ歌(秋田)
  
ホーホー蛍こい 
あっちの水は甘いぞ
こっちの水は苦いぞ

ホーホー蛍こい
山路(やまみち) こい
行燈(あんど)の光で
またこいこい

 おなじ蛍を歌っていても、「蛍の光」は西洋化を推し進める明治政府が、学校で子供たちが歌う小学唱歌として創った歌です。「あおげば尊し」、「蝶々」なども最初期の唱歌です。

 歌詞の冒頭だけを( )内に記します。
蛍の光 小学唱歌 1881年明治14年 (ほたるのひかり まどのゆき)
あおげば尊し 小学唱歌 1884年明治17年 (あおげば とうとし わが師の恩)

 私は歌い継がれてきたどちらの歌もとても好きです。卒業式で涙がこぼれてしまう響きがあります。
 歌詞そのものを読むと生硬で古風な雅語ですので、言葉の意味をわからないままの箇所もあったりします。たとえば「いつしかとしもすぎのとを」、「すぎのと」って何? というように。

 私は、このふたつの歌の魅力の本当の源は、感情移入を無理なく素直にできるメロディーにあると思います。前回、歌と詩それぞれの個性について記しましたが、歌のいのちは、曲と声にあると思っています。
 これらふたつの歌はメロディーがとても美しいので、もし歌詞が多少変わっても、極端に言えば歌詞がなくハミングで口ずさむだけでも、きっと感動は心にこみ上げてきます。このメロディーにのって響く友達の声に卒業式で包まれたら自然に涙が浮かんでしまうと、私は感じます。
 詩では伝えられない、歌の美しさに身も心も包まれ揺られ、感動できればそれでいいと感じます。

 次回は、続く大正時代、今から約100年前に創られ歌われた童謡に耳を澄ませます。


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歌と言葉の音楽。『日本歌唱集』(一)

 『日本の詩歌 別巻 日本歌唱集』(1974年、中公文庫)を読み、歌と詩について、考えました。

 私は資質的に抒情詩人なので、言葉の歌、言葉の響きにとてもこだわりがあります。ですから音楽性に乏しい涸れた現代詩に批判的になりがちですが、詩、詩歌が好きだから詩の創作に生きています。
 作詞家、作曲家、ミュージシャンを目指さず、詩人であることを選んだのは、詩、詩歌でこそ、私が表現したいことを創作し伝えられるからです。

 『歌唱集』を読みながら、なつかしい歌を口ずさみ心がゆれました。やはり歌は心をゆたかにしてくれて、いいな、好きだなと感じました。
 そのように感じ歌いながら、詩人として、歌(歌詞)と、詩(詩歌)のあいだにある、表現方法の違いを考えました。書き記してみます。
 
 ◎歌(歌詞)と、詩(詩歌)の、表現方法の違い

歌詞の言葉   ⇔   詩の言葉
・曲の旋律(メロディー)が主。   ⇔   曲の旋律がない。
・楽器の演奏、人の声ではない音の魅力がある。   ⇔   演奏の魅力はない。
・人の歌声は曲との相乗効果で刺激が大きい。   ⇔   朗読の美しさは刺激の大きさにはない。
・旋律だけで言葉がなくても、くちずさめる。   ⇔   言葉が必要、なければ何もない。
・平易な意味が発声で伝わる単語を選ぶ。   ⇔   制約はない。目で見てわかる単語でもよい。
・言葉は引き伸ばされることが多いので単語は短い。   ⇔   言葉の長短の制約はない。
・曲全体の長さはメロディーとの相互制約がある。   ⇔   語数、詩行数の制約はない。
・表現できる想念の展開もメロディーに制約される。   ⇔   想念の展開にメロディーの制約はない。
・同じ単語の繰り返しを多用する。   ⇔   単語の繰り返しは少ない、自由。
・同じ詩行を一番、二番と繰り返すことが多い。   ⇔   詩行の繰り返しは少ない、自由。
・単語の音数はメロディーに制約される。   ⇔   単語の音数にメロディーの制約はない。
・言葉だけでの定数律も自由律もなりたたない。   ⇔   言葉だけでの定数律も自由律も可能。
・言葉そのものの音は曲に隠され重視されない。   ⇔   言葉の音、音色、繋がり、強弱、リズム、響きが詩歌。

 これは、どちらが良い、というものではないと私は思っています。
 それぞれの芸術の個性です。それぞれの特徴、得意な表現と苦手なところ、最も美しい姿で、最も良く心に伝えることができる方法を探し見つけ感じ伝えるのが創作者ではないかと私は考えています。
 言葉による芸術表現に対して感性を磨き続ける芸術家、詩人でありたいと私は願っています。

 次回は、この内容豊かな『歌唱集』に収められた素晴らしい歌詞の紹介に、感じとれた私の詩想を織り交ぜてお伝えしようと思います。

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