プロフィール

高畑耕治

Author:高畑耕治
愛のうたの絵ほんは、高畑耕治の詩と詩集の海です。
Profile 高畑耕治 たかばたけ こうじ
1963年生まれ大阪府四條畷市出身、早稲田大学政経学部中退。東京都多摩市在住。
詩集『銀河、ふりしきる』(2016年5月イーフェニックス)
詩集『こころうた こころ絵ほん』(2012年同上)
詩集『さようなら』(1995年土曜美術社出版販売・21世紀詩人叢書25)
詩集『愛のうたの絵ほん』(1994年同上)
詩集『愛(かな)』(1993年同上)
詩集『海にゆれる』(1991年土曜美術社)
詩集『死と生の交わり』(1988年批評社)
雑誌「エヴァ」に扉の詩(1996~1997サンマーク出版)を連載。
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新しい詩「小さな島、あおい星の乳房の」をHP公開しました。

 私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「小さな島、あおい星の乳房の」を、公開しました (クリックでお読み頂けます)。

   詩「小さな島、あおい星の乳房の」

お読みくださると、とても嬉しく思います。


 ☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2000円(消費税別途)しました。

 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩の響きあいをぜひご覧ください。

    こだまのこだま 動画
  
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    発売案内『こころうた こころ絵ほん』
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    詩集 こころうた こころ絵ほん
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    詩集 こころうた こころ絵ほん
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tag : 詩人 詩集 こころうた こころ絵ほん 高畑耕治

新しい詩「花の空、ねがいごと」をHP公開しました。

 私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「花の空、ねがいごと」を、公開しました (クリックでお読み頂けます)。

   詩「花の空、ねがいごと」

お読みくださると、とても嬉しく思います。


 ☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2000円(消費税別途)しました。

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    こだまのこだま 動画
  
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tag : 詩人 高畑耕治 詩歌 詩集 こころうた こころ絵ほん ねがい

新しい詩「訪れ、涙の音楽の」をHP公開しました。

 私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「訪れ、涙の音楽の」を、公開しました (クリックでお読み頂けます)。

   詩「訪れ、涙の音楽の」

お読みくださると、とても嬉しく思います。


 ☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2000円(消費税別途)しました。

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    こだまのこだま 動画
  
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tag : 詩人 高畑耕治 詩集 こころうた こころ絵ほん

新しい詩「せみの、うた」をHP公開しました。

 私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「せみの、うた」を、公開しました (クリックでお読み頂けます)。

   詩「せみの、うた」

お読みくださると、とても嬉しく思います。


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『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2000円(消費税別途)しました。

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tag : 詩人 高畑耕治 詩歌 詩集 うた こころうた こころ絵ほん せみ

高田敏子の詩(三)。愛(いと)しく思う。

 『高田敏子詩集』(新川和江編、1997年、花神社)には、こころやさしい花が風にゆれていて、みつめながら、こころが揺れ動きます。

 略歴や収録作品から、高田敏子は詩人としての出発点では、男性詩人からモダニズムを学び、現代詩らしい詩を作っています。現代詩はそのまま難解な言語遊びの独りよがりな迷路に迷い込んでいますが、彼女はその動きに巻き込まれることをよしとせず、詩壇を離れ、現代詩壇、現代詩人の楽屋評価は気にせず、彼女の個性ありのままの詩、書きたい詩、伝えたい詩を書く道を選び取りました。
 心に強い詩人としての芯をもっていなければできないことです。信じる表現を選んだから、彼女は多くの読者に詩を届けることができたのだと思います。私は彼女をとても敬愛します。

 愛の歌、そして子ども心の歌、やわらかなやさしい言葉のこの詩人本来の詩を読んできました。彼女にはこれ以外に、厳しい時代を生き抜いた人間だけが語れる詩があります。

 「静かに訪れて」、「ダガンダガンは何故蒔かれたか」、「壕の中―サイパン―」、「手の記憶」、「盧溝橋」。これらの戦争と社会、時代を見つめた作品でも、詩人である彼女は、ひとりひとりのいのちを感じ取ろうとし、喜びと悲しみ、愛しさや無念、人の思いを言葉にします。心うたれる静かな、うそではない言葉で、ほんとのことを。

 詩集『むらさきの花』初出の一篇です。


  
        高田敏子


スミレの花に生まれればよかった と
娘は いった
昼も夜も土の壕にひそんでいた日

花はこわくないのね
爆撃のあとの畑に
ニラの花は白くすずしく立って咲いていた

娘の名はスミエ
その名を呼ばれる度に娘は「スミレ」と聞いていたのだろう

なぜ 花になれないの?

幼い娘の問いに 私は
花になれない人間の
爆撃に飛び散るときの肉の重みを思っていた

娘はいま二人の子の母になって
ケーキを焼いている
バターは何グラム
おさとうは何グラム
その目盛りを正確に計ることに心を集めている
私はまだ あの重みを思っている
私が見てしまった肉片の重み
そして私がこの家から運び出されるときの重みも
ケーキにはバターも 砂糖も
たっぷりと入っていて
入りすぎて味が少し落ちたのではないかと
娘は首をかしげている
これでいいかしら? おいしいかしら?

そんな娘を私は愛しく思う
人はいつも死に向いあっている必要はないのだから
暗い淵ばかりを見つめていることもないのだから

それにしても ケーキの味の良し悪しを
私に問いかける娘の不安な表情は
あの幼い日のまま
花になりたかったときと同じなのだ
そんな娘を 私は愛しいと思う


 こころには時がふりつもっていること、いのちは時を越えて重なるように流れていることを、教えてくれる詩です。ひととしての思いがとてもゆたかだから、詩の時間につつまれるような気持ちになります。

 「人はいつも死に向いあっている必要はないのだから/暗い淵ばかりを見つめていることもないのだから」という優しく言い聞かせるような言葉と、「私は愛しいと思う」くりかえされるこの静かな思いがこころに消えず響き続けます。

  この敬愛する詩人と、とても好きな詩の花と、ともに咲いていたいと、願う気持ちを咲かせます。
   詩花はどこに いったの?高畑耕治『詩集 こころうたこころ絵ほん』所収)。

 次回以降も、女性の詩人と詩を感じ取っていきます。

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tag : 詩人 高畑耕治 詩集 こころうた こころ絵ほん 高田敏子

高田敏子の詩(二)。呼びあう、こころ。

 明治時代以降の新体詩、近代詩をみつめてきましたが、中公文庫の『日本の詩歌』シリーズや、筑摩書房の『現代日本文学大系93 現代詩集』は、女性詩人とその詩をほんのわずかしか取り上げていませんでした。今回からは女性詩人のゆたかな詩の森に私なりに歩んでゆき、聴き取れた声に木魂する詩想を記していきます。

最初の詩人は高田敏子(たかだとしこ、1914年-1989年)です。彼女の詩について「高田敏子の詩。恋うた、藤の花。」でみつめ、ひと目ぼれし、とても好きになったので、『高田敏子詩集』(新川和江編、1997年、花神社)を読みました。
 「藤の花」、「別の名」は、読み返すたび思いの深まる美しい愛の詩、「花」は凝縮した露のような愛の短唱、「雪の下」は老いてからの愛を見つめた詩。この愛の詩人の言葉が素直に心をうちます。

 彼女の詩を読むと、人を愛する気持ちは異性にとどまらず、深くいのちを感じとる思いに通じていることを感じてしまいます。
 子ども、こころ、いのちを、優しい言葉で歌った詩を読むと、心があたたかくなり、ひとを好きになれる気がします。そんな良い詩がゆたかに輝いています。「子どもによせるソネット」、「春の日」、「窓の下」、「どろんこ」、「水のこころ」、「小さな靴」、「母の手」、「電車の中」、「露の玉」、「雨の日」、「電車の中」、「星空」。どれも好きだな、いいなと感じてみんな紹介したくなる詩です。

 そんな中から一篇を。初出は詩集『月曜日の詩集』です。。

  呼びごえ
        高田敏子


まちかどや 公園などで
よく耳にすることば
「おかあさァーん」
思わずふりむいてしまうのは
私だけではないだろう

おばあさんは思いだす
遠い戦地でなくなった息子のこと
若い母親は
乳房がきゅっと張ってくるのを感じる

 そのころ
 るすばんの子どもたちも
 呼んでいるにちがいない
 遊びあきた庭や
 食卓のまえでこっそりと
 「お か あ さ ん」

母と子は
いつも心のどこかで呼びあっている
若葉がきらりと光ったり
ゆれたりするのは
やさしい心が いつも
空の下を渡っているからです

 二連のさりげない詩行は、この詩人が生き抜いてきた時間へのまなざしと、感受性の深さを響かせています。
三連で、こども心に鮮やかな場面の展開ができるのも、本当の詩心ある詩人だからです。最終行を優しく丁寧な言葉で結んでいるところにも、伝えたい気持ち、想いを、そっと手渡すような、個性が現れています。
 やさしい心を思いださせてくれる、とても良い詩だと思います。

 書きながら読み返していると、心がゆれて、木魂が揺り起こされます。添えてみたくなった私の詩を。
  詩「星の乳房をくちびるに」(高畑耕治『詩集 こころうたこころ絵ほん』所収)。

次回もこころゆたかな美しいこの詩人の、ちがう横顔を見つめます。

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    こだまのこだま 動画
  
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tag : 詩人 高畑耕治 詩集 こころうた こころ絵ほん 高田敏子

崎本恵さんのブログ『遠い空へ』をリンクしました。

 私の『詩集 こころうた こころ絵ほん』に言葉を頂いた敬愛する詩人・作家の崎本恵さんのブログ『遠い空へ』を、このブログのリンク集に加えさせて頂きました。
 ブログにはも載せていらっしゃるので、読めることをとても嬉しく感じています。ぜひご覧ください。

 ☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2000円(消費税別途)しました。

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tag : 詩人 高畑耕治 詩集 こころうた こころ絵ほん 崎本恵

まど・みちおの詩。はだかの生命(いのち)とこころ。

 好きな童謡は?と私が聞かれたら、いろんな童謡が思い浮かびますが、そのなかに
「ぞうさん」はきっとはいる気がします。とてもシンプルな良い歌です。
 今回はこの歌のほかにも「やぎさん ゆうびん」や「いちねんせいになったら」など、ひろく子どもたちに歌われている童謡の作詞者である、詩人のまど・みちおをみつめます。

 出典は『まど・みちお詩集』(ハルキ文庫、1998年)です。これまで彼の作品集を読んだことがなかった私ですが、この本を読んで、彼はとても優れた詩人だと感じました。いいな、好きだなと感じる作品がとてもたくさん輝いていて、心ゆたかに感じられる充実した読書体験でした。
 後日良い作品を見つけたら取り上げようと読み進めている『現代日本文学大系93 現代詩集』(1973年、筑摩書房)は著名な詩人の著名な詩集だけが収められていますが、悲しいことに心打たれる作品を見つけられず、苦行のようにも感じてしまいます。ですから、なおさら、なぜだろう?と考えずにいられません。

 まず、短い詩から。


  どうしていつも
        まど・みちお


太陽



そして


虹(にじ)
やまびこ

ああ 一ばん ふるいものばかりが
どうして いつも こんなに
一ばん あたらしいのだろう

 とてもシンプルな言葉の詩ですが、この詩をいいな、と私が感じてしまうのは、詩人のゆたかな感受性、みずみずしく世界をうけとめる心が感動していて、その思いの強さを、ふさわしい言葉を選びとって伝えてくれているからだと思います。私にとって、これが詩です。
 詩にとっていちばん大切なこのことについての、まど・みちおの能力はきわめて優れていると感じます。

 はっとする発見、うっと胸がつまるようなときめき、あっという驚き、気づかなかった感じ方、言葉で読者の心を、目覚めさせて揺らしてくれる、それが詩を読む喜びです。まど・みちおの作品には、心のうごきがいたるところに輝いています。心臓のように心が伸び縮みを繰りかえしています。こわいほど、彼の心はやわらか、だからのびやかです。どんなかたちにもなり、どんなものをも映し出します。

 たとえば次の詩を読むと、こんな感じとり方もあるのか、と驚きをおぼえます。同時に彼の言葉に対する感覚の鋭敏さを思わずにいられません。


  「めだまやき」
        まど・みちお


戦後(せんご)に使われだしたのだそうだが
「めだまやき」ということばは いたい
いたくて こわい
いきなり この目だまに
焼(や)きごてを当てつけられるようで…

いや 小さな弱い生きものたちの
はだかの目だまに
はだかの生命(いのち)に
この手が じかに
焼きごてを当てつけて楽しむようで…

いいことばだ どんどん使え
使いなれて 平気のへいざになれ
あの「たまごやき」ということばのように
と 何かにそそのかされるようで…

そのちょうしで そのちょうしで
いよいよ さいげんなく はてしなく
ざんにん ざんこくに なっていけ
と 何かにあおりたてられるようで…
こわい
「めだまやき」ということばは こわい

 この詩にも滲み出すようにあらわれていますが、私が彼の詩を好きだ、と心から感じるのは、彼が「はだかの生命(いのち)」を見つめ、感じとり、とてもゆたかな深い思いを込めた言葉にして響かせているからです。
 小さなカやアリなどの生き物から、ちいさな草花や木、上記の「どうしていつも」に歌われた無生物まで、どんなものをみつめても、「生命」を思い感じ伝えてくれます。
 

  馬の顔
        まど・みちお


馬の顔を そばで見ていると
じーんと してくる

汗ばんだ肌(はだ)が
夕やけて 息をするのが
地面の底からの 息のようで
私たち ぜんぶの生き物の
息のようで

円(つぶ)らな目ん玉が
はだかで うるんでいるのが
いま 神さまに
洗っていただいたばかりのようで
その神さまのお顔のほかには
なんにも映(うつ)していなさそうで

じーんと してくる
生き物という生き物の生命(いのち)を
ひとり勝手気ままにしている人間の
その子どもである ぼくの胸は

 この詩がとても好きなのは、詩として高めているのは、最終連に「ひとり勝手気ままにしている人間」という思いの深さがあるからです。まど・みちおのどの作品にも、この感じ方は基調音として響いています。だからこそ、彼には「ぞうさん」が生み出せたのだと私は思います。

 この数十年間に日本語で書かれた良い詩を読みたいんだけど、どんな本がいい?と聞かれたら、私がすすめたい一冊にこの本(彼の作品集)がこれからはいると思います。私自身が読み返したいですから。

 今回はアンデルセンに抱いている敬愛と同じ思いをこめて、私の詩を木魂させます。
  詩「愛(かな)しい瞳」(高畑耕治「詩集こころうたこころ絵ほん」所収)。

 次回からはゆっくり、女性の詩人の詩を感じとっていきたいと思います。


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吉野弘の詩(二)。多くを期待しないだろう。

 詩人・吉野弘の詩に想うことを、前回に続き記します。彼の詩を「ハルキ文庫」で読みました。
 優れた詩人は皆そうですが、彼も作風、詩風に、広がり、幅、奥行き、深さをもっていました。自然をみつめる詩、歌唱の歌詞、言葉を考える詩、言葉遊びの詩など、ひとの心のように表情がゆたかであればあるほど、読者それぞれが、それぞれの時期に、いいなと感じる作品との出会いの可能性がひろがります。

 読者の一人としての私自身は、心といのちをみつめ語りかける彼の詩が好きで、心に響きます。前回みつめた詩「夕焼け」とともに、たぶん十代に初めて読んでから、ずっと心に消えなかったもうひとつの詩と再会できました。
 「奈々子」。タイトルは忘れていましたが、第三連にふれたとき、「ほんとにそうだ」と子どもごころに感じました。その気持ちはその後、子どもを育てる立場になった今も変わらずに私の心に生きています。

 このようなとてもまっすぐな語りかけの詩は、考え方の違う人、考えの凝り固まった「大人」には何も伝わらずに終わるかもしれません。
 ただ巷(ちまた)にも学校にもあふれているようなお説教ではないことが、子どもたちにはわかります。子どもの私はわかりました。
 そのひとが本気で自分のことを思ってくれている言葉かどうか、うそかほんとか、子どもはこころの肌で感じて、こころの耳をひらきます。こころに届いたうそじゃない言葉の響きは、こころの森深く長く木魂し続けます。詩はこころの木魂です。

 自分の長女、一人の子どもへの、はだかの言葉だからこそ、弱くはあっても、あたたかみとやわらかさ、いつわりのなさは、美しいです。とても好きな詩です。

  奈々子に
          吉野弘


赤い林檎(りんご)の頬をして
眠っている 奈々子。

お前のお母さんの頬の赤さは
そっくり
奈々子の頬にいってしまって
ひところのお母さんの
つややかな頬は少し青ざめた
お父さんにも ちょっと
酸っぱい思いがふえた。

唐突だが
奈々子
お父さんは お前に
多くを期待しないだろう。
ひとが
ほかからの期待に応えようとして
どんなに
自分を駄目にしてしまうか
お父さんは はっきり
知ってしまったから。

お父さんが
お前にあげたいものは
健康と
自分を愛する心だ。

ひとが
ひとでなくなるのは
自分を愛することをやめるときだ。

自分を愛することをやめるとき
ひとは
他人を愛することをやめ
世界を見失ってしまう

自分があるとき
他人があり
世界がある。

お父さんにも
お母さんにも
酸っぱい苦労がふえた。
苦労は
今は
お前にあげられない。

お前にあげたいものは
香りのよい健康と
かちとるにむづかしく
はぐくむにむづかしい
自分を愛する心だ。

    註 奈々子=長女の名

ほかにも、いのち、生まれるということをみつめた「I was born」と、結婚し新しい生活に歩みだす子どもに贈る言葉「祝婚歌」は、この詩とおなじように、吉野弘という心の詩人の詩のいちばん良いところが現れ出ている作品だと私は自分勝手に思っています。
 今回は、読者としての私の好みのままに記しましたので、彼の違う側面の作品が好きな読者はまったく違う感じ方をするかもしれません。
 彼の詩を読むさまざまな読者が、共通して感じるのは、ひとや、詩が、いいな、いやじゃないな、という想いのような気がします。とても大切なことではないでしょうか。

出典:『吉野弘詩集』(1999年、ハルキ文庫)、底本『吉野弘全詩集』(青土社)ほか。


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tag : 詩人 高畑耕治 詩集 こころうた こころ絵ほん 吉野弘

吉野弘の詩(一)。やさしい心の持ち主は。

 『日本の詩歌27 現代詩集』(中央文庫、1976年)を読んできました。今回でこの本の掲載作品を通しての詩想は最終回にします。

 詩人・吉野弘(よしのひろし、1926年~)詩集『幻・方法』(1959年)に収録された詩「夕焼け」です。

 この作品をはじめて私が読んだのはおそらく、中学校か高校の教科書だった気がします。好きになりました。いいな、と感じました。こんないい表現ができる詩ってとても素晴らしい表現だな、と素朴に思いました。

 たとえばその頃好きだなと感じた高村光太郎の『智恵子抄』や石川啄木の『一握の砂』と、この詩「夕焼け」は親しくすぐ隣にあって、私を文学、詩の世界、心の表現へと誘ってくれました。

 今、読み返してみても、いいな、好きだな、と感じます。
 詩の入り口で私は、こんな詩を私も書きたいな、と思いました。その気持ちは今も変わりません。

   夕焼け
         吉野弘


いつものことだが
電車は満員だった。
そして
いつものことだが
若者と娘が腰をおろし
としよりが立っていた。
うつむいていた娘が立って
としよりに席をゆずった。
そそくさととしよりが坐(すわ)った。
礼も言わずにとしよりは次の駅で降りた。
娘は坐った。
別のとしよりが娘の前に
横あいから押されてきた。
娘はうつむいた。
しかし
又立って
席を
そのとしよりにゆずった。
としよりは次の駅で礼を言って降りた。
娘は坐った。
二度あることは と言う通り
別のとしよりが娘の前に
押し出された。
可哀想に
娘はうつむいて
そして今度は席を立たなかった。
次の駅も
次の駅も
下唇をキュッと噛(か)んで
身体をこわばらせて――。
ぼくは電車を降りた。
固くなってうつむいて
娘はどこまで行ったろう。
やさしい心の持主は
いつでもどこでも
われにもあらず受難者となる。
何故(なぜ)って
やさしい心の持主は
他人のつらさを自分のつらさのように
感じるから。
やさしい心に責められながら
娘はどこまでゆけるだろう。
下唇を噛んで
つらい気持で
美しい夕焼けも見ないで。

 
 今回は初めて読んでからずっと好きなこの詩とどこかで木魂していたと今思う私の作品を咲かせます。
   詩「交わり ひとりであること」(高畑耕治『死と生の交わり』から)。

 私の詩を読んでくださる方が、あの頃の私のように、偶然読んでああ好きだなと思ってくださるような詩を書きたい、そんな願いをいつも変らずに抱きながら、私は創作しています。

 次回も吉野弘の作品をもう少しみつめ感じとりたいと思います。


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菅原克己の詩。青空を見ようじゃねえか。

 『日本の詩歌27 現代詩集』(中央文庫、1976年)を読みすすめています。今回は菅原克己(すがわらかつみ、1911年~1988年)の詩をみつめ感じとります。

 今回紹介する詩は、私が詩の入り口にいた頃に読んだ作品です。記憶がよみがえりました。青年時代に好きになった異性を生涯好きであるのと、詩も似ています。どちらも心に咲く花だからでしょうか。
 心うたれた記憶はいつまでも枯れません。

 この詩は詩集『遠くと近くで』(1969年)に収録されています。『現代詩集』の鑑賞文を書いている小海永二は、黒田三郎の言葉を引用しています。この作品の良さをよく教えてくれるので、私も以下に引用します。
「一読して、何かしみとおるようなものがある。詩はさらさらと何気なく書かれている。このさらさらと何気ないところに、この詩人の善意とはにかみと、その苦難の歴史と、それに対する誇りと愛着とを、自然に感ずるのである。
〈マクシム、どうだ、
 青空を見ようじゃねえか〉
 それだけのことを、若者に伝えるために、この詩は書かれている。(略)何でもないようであるが、たぶんこんなふうにことばが出てくるためには、長い時間がかかり、多くの経験の積み重ねがなければならないのだ」

   マクシム
            菅原克己


誰かの詩にあったようだが
誰だか思いだせない。
労働者かしら、
それとも芝居のせりふだったろうか。
だが、自分で自分の肩をたたくような
このことばが好きだ。
〈マクシム、どうだ、
 青空を見ようじゃねえか〉

むかし、ぼくは持っていた、
汚れたレインコートと、夢を。
ぼくの好きな娘は死んだ。
ぼくは馘(くび)になった。
馘になって公園のベンチで弁当を食べた。
ぼくは留置場に入った。
入ったら金網の前で
いやというほど殴(なぐ)られた。
ある日、ぼくは河(かわ)っぷちで
自分で自分を元気づけた、
〈マクシム、どうだ、
 青空をみようじゃねえか〉

のろまな時のひと打ちに、
今では笑ってなんでも話せる。
だが、
馘も、ブタ箱も、死んだ娘も、
みんなほんとうだった。
若い時分のことはみんなほんとうだった。
汚れたレインコートでくるんだ
夢も、未来も……。

言ってごらん、
もしも、若い君が苦労したら、
何か落目で
自分がかわいそうになったら、
その時にはちょっと胸をはって、
むかしのぼくのように言ってごらん、
〈マクシム、どうだ、
 青空を見ようじゃねえか〉

 厳しい時代を生き抜いた詩人の、優しい言葉にふれると、疲れていても私は、そうだ、青空を見よう、そう思えます。
 今回も作品に木魂する私の詩を探しましたが、まだそれだけの経験がたりない私にはふさわしい詩が書けていないなと思いました。いつか響かせられたらと願います。

 次回も私の心に咲きつづけてくれる枯れない詩の花を咲かせます。


 ☆ お知らせ ☆
『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。A5判並製192頁、定価2000円(消費税別途)しました。

 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。絵と音楽と詩の響きあいをぜひご覧ください。

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9月15日、田川紀久雄さんと坂井のぶこさんの朗読会です。

 詩人の田川紀久雄さんの詩誌「操車場 詩と評論・第64号」に、私の新しい詩「いま、ここで」を参加・掲載して頂きました。私は紙の手触りが好きですので、手に取り読めて嬉しく思います。

 田川紀久雄さんと、詩人の坂井のぶこさんの朗読会「第7回 いのちを語ろう」が今週9月15日(土)に催されます。
 時間:午後1時40分開場、開演2時。

 場所:東鶴堂ギャラリー(横浜市鶴見、JR鶴見駅徒歩5分、京急鶴見駅徒歩2分、鶴見区鶴見中央4-16-2 田中ビル3F)
 料金:2000円。

 朗読:古典に挑戦してみよう 
 語り手・田川紀久雄『曽根崎心中・道行』、『中原中也詩集より』
 語り手・坂井のぶこ『源氏物語より』


 私が好きな古典、詩人ですので、楽しみにしています。ご関心をお持ちの方はお気軽にご来場されたらと思います。
 
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小山正孝の詩。抒情、心象風景。

 これまで出会う機会のなかった詩人の良い詩にめぐりあいたいと『日本の詩歌27 現代詩集』(中央文庫、1976年)を読みすすめています。
 今回は小山正孝(おやままさたか、1916年~2002年)の詩をみつめ感じとります。

 著者は青春時代に立原道造との出会いもあり、詩誌『四季』の詩風の継承者と解説で紹介されています。また、インターネット百科辞書のウィキペディアにも記事があり戦後は時代の詩風に合わず傍流にいた、という内容が記されています。
 時代の詩風というものを私はあまり意味あるものと考えません。詩はあくまで個性から生まれ出る表現だから、はやりの表現に簡単に染まるようなら、まねごとの段階ともいえるからです。

 けれど、抒情詩が好きな私が(自分の不勉強は当然ありますが)、小山正孝のような抒情詩人に今日まで出会えずにいたことには、現代詩という流行の固定観念化が悪影響していたと思えて残念です。
 これは今、詩があまり読まれなくなったことの大きな要因だと私は感じます。
 私は隠されてきた、隠されている、良い抒情詩、心の詩をもっと探し、出会い、伝えたいと願います、
 詩はこころを歌うもの。その最も素朴で純粋な姿は、これまで時代と民族、言語を越えて、抒情詩であり、愛の詩でした。人間の詩であるかぎり、このことはこれからも変わりません。

   倒さの草
            小山正孝


草むらに私たちは沈んだ
草たちは城壁のやうに私たちをくるんだ
倒(さか)さの草たちのそこの空に白い雲が浮んでゐた
青ざめたほほと細いあなたの髪の毛と
草の根方を辿(たど)つてゐる蟻(あり)と蜘蛛(くも)と
しめつた黒ずんだ土と……
暑い暑い夏の日だつた
あなたとはもう縁(えん)もゆかりもないけれど
今も思ふ
純粋とはあれなんだ
起きあがつた時のあなたの笑顔とすずしい風と
美しいくちびるの色!


 この詩には異性を愛しはじめたとまどいと切なさが可憐に咲き香っています。


 今回は私の抒情の雪の花を咲かせます。

   詩「雪野原」(高畑耕治詩集『愛(かな)』所収)。

 次回からは出典の本を変え、感動を伝えてくれる詩をさがしみつめたいと思います。


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『こころうた こころ絵ほん』の図書新聞書評に想う

 『図書新聞』3077号(2012年9月8日号)で詩人のたかとう匤子さんが、私の『詩集 こころうた こころ絵ほん』の書評を執筆してくださいました。
 「生きることの美しさにあふれた一冊 ― 厳しい問題にも踏みこんでもうひとつの片身(=半身)も見せてほしい」というタイトルです。今回は、この書評に感じたことを書き留めます。

 構成は標題と副題に添う形で、前半と後半に分かれています。その要約を記した後に、私の感想を書きます。

1.書評前半部 
① 内容について:平和でのどか。生きることの美しさにあふれた。人の心のあり方を善意な眼差しでいろんな角度から。心優しい。愛がいっぱい満ち満ちている。
② かたちについて:童謡詩。生活啓蒙詩。大人の童話。愛にあふれたメッセージ。誠実で一貫した。
③ 引用:詩「優しさの花(むぅ)もみじの赤ちゃん」から。詩「こころ絵ほん(みぃ) たんぽぽ道草わたぼうし」から。

☆ 私の感想・前半部について
 「私の中にもこういう風景はあり、遠い昔を懐かしむような気持ちになった。(略)私がかつて生きてきた時代にはこういう情緒も、風景もあった。」私はこのように感じとってくださった評者のこの言葉をとても嬉しく受けとめます。
 そのうえで、こういう情緒、風景は、決して過去のものではない、今もあるし、これからも失くしてはいけない、と思っています。過去のものになりそうであるなら、壊されつつあり、忘却されようとしているなら、なおさら私は詩を、言葉の絵本を描き、思い出すため、思いおこすため、忘れないために、歌い続けたいと願います。

2.書評後半部
④ 気がかり:絵本とみるか、児童文学とみるか。現代詩とはちょっと違う。
⑤ 評者にとっての現代詩:時代や状況など切実な時代相と向き合って、矛盾に充ちた苦難に耐えながら、そこから言葉は生まれてくる。愛や信頼や喜怒哀楽(略)だけではちょっと物足りないのではないか。
 二十一世紀は、厳しい問題が山積、苦しいことばかり。矛盾に充ちた苦難に耐えながら、そこから言葉は生まれてくる。現代詩はこういった問題を引き受けており、時には難解になったりする。
<児童虐待>、母の愛を絶対と言えない現実。集団登校。ボランティアによる児童の引率、道草などありえない。通学路に車が飛び込んできて死傷者が出たのは記憶に新しい。
⑥ 引用:詩「なみだ」。作者は詩集の中で反戦の気持ちを歌い、詩集の発行日が3・11からちょうど一年後の「2012年3月11日」となっていて、そこにある作者の時代へのこだわりもまた伝わってきた。
⑦ 批評の核心:こういう現実を詩の言葉としてどう引き受けるか。こういった現実に目を覆っての「こころうた」では、片身(=半身)でしかない。絶えず葛藤を描くこと、それがないと文学などあり得ない。踏み込んでもうひとつの片身(=半身)も見せてほしい。

☆ 私の感想・後半部について
 評者の言葉は作者として素直に受け入れられるものでした。この本を私は現代詩とは思っていませんし、こだわりもありません。難解な言語と観念を弄ぶ<現代詩>を私は好きでありませんが、評者の現代詩観は私に近しいものに感じました。
 評者に気がかりが生まれるのは、次のような私の文学と詩についての想いによるのだと感じます。

 今、生きているのだから、今を、現代を、重く捉えるのは当たり前のことなのだと思います。けれどそれが高じると、現代を特別視した、過去より進歩した結果としてある、優れた時代だとする驕りに陥ります。
 私は、現代が優れているわけでもなく、今生きている人間が進化した生物とも思いません。時代、状況、矛盾に充ちた苦難、苦しい問題が山積した、苦しいことばかり、なのは現代だけではありません。有史以来、この星の上あらゆるところで、ずっと続いていることです。
 けれどいつの時代にも、自分と愛する人たちが生きているからこそ「切実な時代相と向き合って、矛盾に充ちた苦難に耐えながら、そこから言葉は生まれてくる。」詩は生まれてきます。

 もうひとつ、今、いわゆる<現代詩>には、「愛や信頼や喜怒哀楽」が、あまりに剥落し乾き切っています。「愛や信頼や喜怒哀楽」を感じ伝え合うことこそ人間として生きることなのだから、「愛や信頼や喜怒哀楽」のない文学は人間の文学ではなく詩ではありません。<現代詩>であろうがなかろうが、どうでもいいことです。
 人間の文学、詩があればよいし、私が生みたいのはそれだけです。

 生きている、切実な時代に向き合うところからしか詩は生まれないと、私も思っています。このことを評者もおそらく感じとってくださっていると、⑥の引用に添えてくださった言葉でわかります。
 ですから、この批評の核心の言葉は、もっと踏み込んで表現しろ、がんばれ、という励ましのように、私には思えました。
 このことは、この詩集の刊行後に生まれた私の新しい詩「いま、ここで」や「青い空のあの白いを読んでいただくと、評者もわかってくださる気がします。がんばりたいと思います。


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『こころうた こころ絵ほん』。香咲萌さんの「詩と思想」書評を読んで。

 『詩と思想』9月号の新刊セレクションで、詩人の香咲萌さんが私の詩集『こころうた こころ絵ほん』を書評してくださいました。おおきく全体を受けとめ感じとってくださった嬉しい言葉でした。
 ここには読ませて頂いて感じた二つの小さなことがらについてだけ書き留めておきます。

1. 少年詩
 この言葉は意外ではありませんが、予想していなかった私には新鮮でした。子どもこころの作品が多いことは確かですし、私は詩ごころは、子どものときから変わらないこころの姿だと思っていますので、大人である私がいま意識せずに創った作品を、少年詩、子どもの目線、まなざし、子どもこころの詩と感じて頂けたとしたら、詩人として嬉しく思います。
2. 難しい字に「ふりがな」があること。
 作品に「ふりがな」がふられているので、幅広い年齢の方にとって読みやすいとの感想について、次のように考えています。
 たとえば、私が好きな「愛しい」という日本語表記は、「かなしい」とも「いとしい」とも読めます。「愛おしい」、「いとおしい」という言葉もその隣りにいます。このことは象形文字の漢字と、表音文字のひらがな(カタカナ)をあわせもつ日本語の豊かな特徴だと思いますが、長所は短所と表裏でこの曖昧さは作品を損なうこともあります。

 私は作品ごとに、また作品での言葉・詩句の位置(と他の詩句との並び)によって、漢字、ひらがな、カタカナを使い分けつつ、複数の読みができる漢字を選んだ場合には必ずふりがなをふります。
 私が「愛しい」と表記するとき、「かなしい」と感じ伝えたいのか、「いとしい」と感じ伝えたいのか、作者としての意思を間違いなく届けたいからです。

 ふりがななんてつける必要はないと考える作者もいると思いますが、私自身の読者としての経験から、複数の読み方ができる場合に書き手がどちらの読みで書いたかを正確に読みとることはとても難しいと考えています。文脈、前後の言葉から、あるいは、音の流れから、また作者の言葉使いの癖から、たぶんこのように読むのだろうと判断しますが、もしかしたらその箇所だけは例外的に読ませたかったのかも知れず、結局誰にもわかりません。書き手と、編集者と、読者それぞれが、別々の読み方をしていることさえあると私は思っています。恥ずかしいから誰も言わないだけです。

 散文の場合には、一般的な読み方で読まれればよい、どちらで読まれてもよいと考える著者もいると思います。
 けれど詩作品にとっては、詩句の音と形はとても大切なもので、意味・メッセージと分かちがたく溶け合っています。人にとってのからだとこころが切りはなしがたく結びついているようなものです。
 「愛(かな)しい」、「愛(いと)しい」、言葉・詩句による想いのゆらぎのちがい、ただひとつきりのその姿を見つめ(ることで普遍をも見つけ)るのが詩です。

 漢字の凝縮した硬い形と複数の音を隠して抱いている姿を生かしたい言葉・詩句には、その音も、読者が迷わずに感じとってくださるよう、「ふりがな」を私はふります。ひらがなのやわらかな形と一音一音をひろいながら読みとってほしいときには、ひらがなを選びます。
 このように日本語の詩の美しい言葉・詩句には、せせらぎのひかりのように、みずみずしい変奏の音色が息づいています。


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光と心の、ただひとつの絵模様。牧瀬かおる 『万華鏡の少女』

 児童文学作家・牧瀬かおるさんの新しい児童書を紹介します。

    『万華鏡の少女』 (牧瀬かおる作、福井かなこ絵、2012年、イーフェニックス)

 絵本のように優しく美しい本です。万華鏡をのぞくように期待に心ときめかせて開くと、不思議な心模様が広がります。海辺での女の子たちのお話、万華鏡が時をこえて、心を結んでくれます。

 作者は語りかけます。「万華鏡は、同じ模様はありません。それぞれ違っているからこそ、美しい」、「どんな色でも模様でも自分らしくあれば、人と比べなくてよいのです。それは自分の万華鏡だからです。」、「世界にたったひとつだけの万華鏡、それはあなたなのです」。
 このメーセージが、お話を読み進め読み終わったとき、知らないうちに心に沁み込んでいる、そんな素敵なお話です。

 作者はこのお話を本にしようとした時、絵がとても好きな親友と本を彩ってもらう約束をされました。その方はその後、闘病のすえお亡くなりになりました。果たせそうにない約束をした作者に、このお話の心を描くのにふさわしい方として、福井適子(ふくいかなこ)さんを紹介されたそうです。
 美しい色どりの優しい絵模様が、心に静かに優しく沁みてくるのは、作者の親友への深い鎮魂の思いが込められているからだと感じます。
 だからこの物語のなかの海で亡くなった女の子の悲しみと彼女へ語りかける鎮魂の思いは、東北の震災で亡くなった方々の深い悲しみにまでひろがり溶け合いつつもうとするように感じられて、心が打たれます。悲しみの傍らに寄り添いたいと願う偽りない優しさが私は好きです。

 作者と親友の方と福井さんの心の絵、万華鏡の光が織りなす模様が、いのちに優しい息をふきかけ包んでくれるようです。
 お話のなかの女の子が、勇気を出して覗いた心の万華鏡は、深い海のように優しい色模様でした。この本にめぐり会えた子どもたちは、きっと自分らしいたったひとつの万華鏡を見つけて生きてゆける、そう思います。



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天野忠の詩。「米」。社会的主題と詩的形象。

 これまで出会う機会のなかった詩人の良い詩にめぐりあいたいと『日本の詩歌27 現代詩集』(中央文庫、1976年)を読みすすめています。
 今回は天野忠(あまのただし、1909~1993年)の詩をみつめ感じとります。

 今回は紹介する詩に添えられた伊藤信吉の鑑賞文を、先に引用します。天野忠の詩をより深く感じとれると思うからです。詩句、詩行は思いが強く凝縮していて、時代背景を説明する言葉はありません。
 詩作品には、作品の言葉それだけで独立した結晶のように完結するようなタイプもありますが、時代や社会の一般的な共有理解を前提にしているタイプもあります。今回の詩は後者です。
太平洋戦争敗戦直後の社会がどのようであったか、ある程度でも知っていなければ、わからない部分があります。たとえば、闇米。米の担ぎ屋。この言葉を知らない若者、子どもが多いと思います。
次に引用する解説は、この時代を教えてくれると同時に、時代と詩、社会的な詩の難しさについての理解も、優れていると私は思いました。

● 引用:天野忠の詩「米」の、伊藤信吉の鑑賞文
「米」これは戦後――昭和二十年代の社会的混乱や倫理観の混迷、さらには戦後政治につづく政治的空白の時期に、その荒廃を突き抜けて生まれたまっとうな精神の詩である。そのまっとうな精神が、社会的主題の困難さを超えて、すぐれた詩的形象に到達した注目すべき作品である。
 戦争の荒廃は国民の大多数を飢餓に曳きずりこんだ。そのとき政治はどこかへ逃げこんでしまった。誰が飢えを救ってくれたか。飢えを救うのは各人の才覚だった。政治に逃げられた大多数の国民は、自分の才覚以外に飢えから逃がれる手段を持たなかった。
 闇米。米の担(かつ)ぎ屋。担ぎ屋の男たち女たち。遠く米所の農村へ出かけて行って、列車の混雑に紛(まぎ)れこみながら、都会地へ米を搬(はこ)びこんだ男たち女たち。一人ふたりの小さな担ぎ屋。集団をなして商売をした担ぎ屋。それを襲う警察官その他の摘発の手。彼らは「食料管理法」という法律を振りかざしていた。一方で飢えさせ、一方で闇米を押える。不思議な政治的空白の時期であった。
 その矛盾した仕組みのために、線路に投げ出された米。天野忠の眼がそれを見ている。
(引用終わり)。

 けれども私が今回この詩を引用するのは、このような時代があり人たちがいたということを知ってほしいからではありません。
 この時代、社会状況、人々の生活、不合理、社会不正を調べ伝えていくことも大切なことですが、それを正確に詳しく掘り下げることは、詩という器には限界があります。けれども逆に、そのような詩だからこそ、伝えることができるものがあります。
 わたしはこの詩をとても良い詩だと、好きな詩だと、感じます。この作品には、詩全体で、また個々の詩句そのものにも、今読む私の心を打つちからがあると感じます。それはなぜか?
 どうしても書かずにはいられない、伝えずにはいられない想いを、伊藤信吉が記しているように、詩人が「詩的形象」としえたからだと私は思います。

 作者の心深く響く感動が、本物かどうかは、読者にはわかります。本物なら読者の心にも感動を呼び覚ましてくれるからです。感動には、美しさ、喜び、悲しみ、嘆き、祈りと混ざり合って、怒りという顔もあります。その表情の豊かさは、心そのものの豊かなひろがりと深さだと私は思います。


   
          天野忠


この
雨に濡れた鉄道線路に
散らばった米を拾ってくれたまえ
これはバクダンといわれて
汽車の窓から駅近くなって放り出された米袋だ
その米袋からこぼれ出た米だ
このレールの上に レールの傍に
雨に打たれ 散らばった米を拾ってくれたまえ
そしてさっき汽車の外へ 荒々しく
曳かれていったかつぎやの女を連れてきてくれたまえ
どうして夫が戦争に引き出され 殺され
どうして貯えもなく残された子供らを育て
どうして命をつないできたかを たずねてくれたまえ
そしてその子供らは
こんな白い米を腹一杯喰ったことがあったかどうかをたずねてくれたまえ
自分を恥じないしずかな言葉でたずねてくれたまえ
雨と泥の中でじっとひかっている
このむざんに散らばったものは
愚直で貧乏な日本の百姓の辛抱がこしらえた米だ
この美しい米を拾ってくれたまえ
何も云わず
一粒ずつ拾ってくれたまえ。

 次回も、めぐり会うことができた、感動を伝えてくれる詩をみつめたいと思います。


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 ☆ こちらの本屋さんは店頭に咲かせてくださっています。
 八重洲ブックセンター本店、丸善丸の内本店、書泉グランデ、紀伊国屋書店新宿南店、三省堂書店新宿西口店、早稲田大学生協コーププラザブックセンター、あゆみBOOKS早稲田店、ジュンク堂書店池袋本店、紀伊国屋書店渋谷店、リブロ吉祥寺店、紀伊国屋書店吉祥寺東急店、オリオン書房ノルテ店、オリオン書房ルミネ店、丸善多摩センター店、くまざわ書店桜ケ丘店、有隣堂新百合ヶ丘エルミロード店など。
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