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高畑耕治

Author:高畑耕治
愛のうたの絵ほんは、高畑耕治の詩と詩集の海です。
Profile 高畑耕治 たかばたけ こうじ
1963年生まれ大阪府四條畷市出身、早稲田大学政経学部中退。東京都多摩市在住。
詩集『銀河、ふりしきる』(2016年5月イーフェニックス)
詩集『こころうた こころ絵ほん』(2012年同上)
詩集『さようなら』(1995年土曜美術社出版販売・21世紀詩人叢書25)
詩集『愛のうたの絵ほん』(1994年同上)
詩集『愛(かな)』(1993年同上)
詩集『海にゆれる』(1991年土曜美術社)
詩集『死と生の交わり』(1988年批評社)
雑誌「エヴァ」に扉の詩(1996~1997サンマーク出版)を連載。
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ヘルダーリン『ヒュペーリオン』(一)。その名は美だ。

 今回から数回、ドイツの詩人ヘルダーリン(1770年~1843年)の長編作品『ヒュペーリオン』を見つめます。シラーやゲーテより若い世代で、フランス革命、ナポレオン独裁の時代が青春期でした。ノヴァーリスとも会っています。彼の詩と『ヒュペーリオン』の価値をシラーやゲーテは十分には評価せず、二十世紀にようやく再評価された詩人です。

 私は二十代で彼の作品を知り、とても感動しました。彼の詩については、次のエッセイで以前紹介しています。
     ヘルダーリン、愛の詩 
     ヘルダーリンの愛の祈り

 『ヒュペーリオン』は長編作品のため機会を逸してきましたが、読み返すことができた今やはり、とても好きだと感じて、その想いを深め伝えたいから、私はこの文章を書いています。

 今回は作品全体について想うことを記し、次回以降は作品の大きな流れのまとまりからテーマを掬い上げ、作品の言葉の飛沫のきらめきと、滴をあびて呼び覚まされた私の詩想を記していきます。

1.愛の詩人、愛の言葉であること

 『ヒュペーリオン』は書簡形式、手紙を束ねた、作品です。ですから、話者の想いそのものの流れで、抒情詩にかよいあうものがあり、直接心に言葉が飛び込んできます。
  特に、愛し合うふたりが、愛するひとに、直接語りかけ、思いを訴える手紙は、恋文、ラブレターそのものです。私は、人間が伝えようと言葉のうち、恋文ほど、切実な思いが込められた、強く心に迫ってくるものはないと思っています。同じほどの強さをもっているのは、死を前にした遺書と、死者への鎮魂の想いだけだと思います。

 ヘルダーリンが三十歳頃に書いたこの作品の言葉が、心に強く迫ってくるのは、彼が深く愛した女性への思いそのものを込め、その愛するひとにこそ、語りかけているからです。彼が愛した女性ズゼッテは、彼が家庭教師に赴いた家庭の夫人、4人の子どもの母親でした。 
 二人は引き離された後も逢瀬を重ねましたが、ズゼッテは不幸にも早世します。ヘルダーリンは深いショックを受け、心は彼女とともに亡くなったと感じます。その後の73歳までの彼は、精神の病の薄明をさ迷い続けました。

 『ヒュペーリオン』を捧げた、心から愛した女性ズゼッテがいなくなった世界など、彼はもういらなかったのだと、私は感じます。
 ふたりの豊かな愛の言葉の交感は、次回以降、ふれていきます。

2.美と永遠

 ヘルダーリンが天性の詩人だと感じずにはいられない、もうひとつの個性の強さ、それは、美と永遠を求めずにはいられない、彼の生来の資質です。彼の魂がとても美しく輝き出ている言葉を、『ヒュペーリオン』から今回の最後に引用します。

● 以下、出典からの引用

 おお、最高にして最善のものを知の深淵に、行動の喧騒に、過去の闇に、未来の迷宮に、墓のなかに、あるいは星のかなたに求めているきみたち、きみたちはその名を知っているか、一にして全なるものの名を。
 その名は美だ。

● 引用終わり。

 次回もヘルダーリンの『ヒュペーリオン』を見つめ感じとります。

出典:『ヒュペーリオン ギリシャの隠者』ヘルダーリン、青木誠之訳、ちくま文庫

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tag : 詩歌 詩人 高畑耕治 ヘルダーリン ヒュペーリオン

菊、白菊。鶏頭。すすき。秋、俳句の花(四)。

 秋の花の名を詠んだ俳句を見つめています。出典は『俳句の花図鑑』(監修:復本一郎、2004年、成美堂出版)です。入門書ですので、花の名にも俳句にも詳しくなくても、美しい写真を眺めながら楽しく読むことができます。
 俳人は季語として花の名をいつも意識するからでしょうか、季節の移ろいに咲く花の姿をとてもよく知っていて素晴らしいなと、私は素直に感じます。

 初秋から順に、出典にあげられたさまざまな俳句から私の心に響いた句を選び、いいなと感じたままの詩想を☆印の後に記します。

 秋の最終回は、三秋の花の名を詠み込んだ俳句です。

● 三秋

  有る程の菊抛(な)げ入れよ棺の中  夏目漱石

☆亡き人との最期の別れの時という、息が詰まる悲しみ感情の強さを、「なげいれよ」という命令形表現で強く響かせています。小説家でありながら漱石は、心、感情を知り、表現できた文学者だと、この句に改めて感じます。

  菊うらら翅(はね)あれば出て飛ばぬなき  篠田悌二郎

☆冒頭の詩句「菊うらら」は、短い表現で、いちめん咲きゆれている菊の姿を想い描かせてくれて、短詩形、俳句表現の力を感じます。
 特定の昆虫を言わずに「はねあれば」と、あらゆる翅ある昆虫をさして、浮かび上がるイメージは読者個々のイメージに委ねていることで、句の世界を自然の空間にまで大きく拡げています。読者は好きな昆虫を、蝶、とんぼ、バッタ、ミツバチなど、咲きゆれる菊の世界を飛び交う姿を自由に思い浮かべてしまいます。

  白菊とわれ月光の底に冴ゆ  桂信子

☆幻想的な世界、美しい抒情の句です。「月光」にふさわしい花「白菊」を選び咲かせた作者の感性の繊細さがこの句の命だと感じます。
 最後の詩句「さゆ」は、意味、イメージのうえだけでなく、その音「SAYU」も、月光と白菊のささやきのように、かすれ、澄み、優しく響きます。

  生けられし鶏頭のなほ静まらぬ  相生垣瓜人

☆花の感情を聴きとったような句です。鶏頭の赤の、わきあがる泉のような生命感を、描き出しています。生け花になりながらも、という場面が浮き立たせる、静と動、死と生の、対比が句に強さをもたらしています。

  をりとりてはらりとおもきすすきかな  飯田蛇笏

☆見た目とはちがったすすきの重さへの静かな感動にある愛しむ心がいいと感じます。とても音楽的な句です。
前半は「り」の三度の繰り返し、後半は「き」の二度のくりかえしが、「りrI」、「きkI」と変化しつつ母音イIの響きあいで連なる波を生み出していて、美しいです。
 また子音と織りなされているので目立ちませんが調べの快さを増しているのは、「をりとりOritOri」の母音オO音、「はらりhArAri」の母音アA音、「おもきOmOki」の母音オO音、「すすきsUsUki」の母音ウU音、それぞれの繰り返しです。とてもリズミカルで、日本語の母音の音色の美しさを伝えてくれます。

  芒の穂ばかりに夕日のこりけり  久保田万太郎

☆調べのうえでは「りrI」が快く、「にnI」、「ひhI」の母音イI音と、脚韻のように響きあい、細いさびしい詩情をかもしだしています。
 調べにささえられた、イメージ、情景が映像のように浮かびあがってきます。すすきの美しさがもっとも高まる瞬間を見事にとらえていて、美しい句です。

 ■ 出典:『俳句の花図鑑』(監修:復本一郎、2004年、成美堂出版)

 秋の俳句の花を見つめるエッセイは今回で終わりですが、どの句も秋の「美しさ」に感動する心を伝えてくれていて、俳句は素晴らしいな、花の句にこれからも出会いたいなと思います。

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tag : 俳句 詩歌 詩人 高畑耕治

詩誌『たぶの木』 8号をHP公開しました。

 手作りの詩誌『たぶの木』8号を、私のホームページ『愛のうたの絵ほん』に10月26日公開しました。
  
   詩誌 『たぶの木』 8号 (漉林書房)

 漉林書房の詩人・田川紀久雄さん編集・発行の小さな詩誌です。
 私は作品を活字にでき読めて、とても嬉しく思います。
 参加詩人は、田川紀久雄、坂井のぶこ、山下佳恵、高畑耕治です。ぜひご覧ください。

 なお、次回のブログ公開は10月29日(火)になります。秋の俳句の最終回です。


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tag : 詩歌 詩人 詩誌 たぶの木 田川紀久雄 坂井のぶこ 山下佳恵 高畑耕治

曼珠沙華、彼岸花。竜胆。金木犀。秋、俳句の花(三)。

 秋の花の名を詠んだ俳句を見つめています。出典は、『俳句の花図鑑』(監修:復本一郎、2004年、成美堂出版)です。入門書ですので、花の名にも俳句にも詳しくなくても、美しい写真を眺めながら楽しく読むことができます。
 俳人は季語として花の名をいつも意識するからでしょうか、季節の移ろいに咲く花の姿をとてもよく知っていて素晴らしいなと、私は素直に感じます。

 初秋から順に、出典にあげられたさまざまな俳句から私の心に響いた句を選び、いいなと感じたままの詩想を☆印の後に記します。

 今回は、仲秋の花の名を詠み込んだ俳句です。

●仲秋

  曼珠沙華(まんじゅしゃげ)抱くほどとれど母恋し  中村汀女

☆真っ赤なまんじゅしゃげの花を、摘み取り腕いっぱいに抱きかかえたときの感情が、最後の詩句「母恋し」にどっとあふれんばかりに流れ込んでいて、なつかしさとせつなさが響く、抒情詩です。
 「まんじゅしゃげ」という詩句の音には、子音M音、N音の密着する感じの音と、「ゆYU」音、「やYA」音の柔らかな音の響きがあって、この句の詩情にまるみ、優しさをもたらしています。

  むらがりていよいよ寂しひがんばな  日野草

☆赤く赤く群がり咲くほどに、なぜか寂しさがましてゆく、繊細な感受性を言葉にしています。花の呼び名も「まんじゅしゃげ」とせず「彼岸花」を選んでいるので、お彼岸の死者が意識されます。
 その響きも「HiganBana」の、子音H音の息のかすれる音(B音は、H音の濁音なのでHanaを意識させます)が、その前に置かれた句の感情「さびしSaBISI」の子音S音、母音イI音のかすれた細い息の流れにつらなり、音の花を咲かせています。

  竜胆(りんどう)は若き日のわが挫折の色  田川飛旅子

☆「若き日のわが挫折の色」、感傷の想いの深みから咲きだしたような句です。花言葉「あなたが悲しむとき私は愛します」、悲しみと愛をつつましく香らせる花の色を、とても新鮮に表現しています。
 「若き日のわがWAKAKIHInoWAGA」には「わか」、「わが」の変化した頭韻と、母音アA音とイI音の連なりと変化が、感情の高まり、想いの強さを、その頂点の「ざせつZASETU」に送り込みます。「ZA」「SE」「TU」の3音ともに強く息を吐き出す音で、調べの上でも波の頂点となり、つづく詩句「のいろ」の静かな落ち着いた響きに沈んで閉じ、句の後に余韻を生み出しています。

  月の出は金木犀の色にかな  永井東門居

☆色彩あざやかな、絵画のような句です。地平線近く上り始めたばかりの大きな丸い月の、赤みがかった黄色、
その色合いの美しさは、まさに金木犀の色だ、という発見の感動を、伝えたい、と響かせています。詠むと丸い月と金木犀の花のイメージが重なり交わりながら想いの空にのぼるような気がします。

  木犀をみごもるまでに深く吸ふ  文挟夫佐

☆女性ならではの繊細な感受性の句。花のいい香りを、胸いっぱいに深く吸い込む歓び、感動を、「みごもるまでに」ととても美しく表現しています。そのとき花の精、香りは、作者のからだの奥深くからだといったいとなって受精して、花の命が生まれでるようです。とてもいい句だなと感じます。

 ■ 出典:『俳句の花図鑑』(監修:復本一郎、2004年、成美堂出版)

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tag : 詩歌 詩人 高畑耕治 俳句

薄荷。紫苑。鳥兜。野菊。秋、俳句の花(二)。

 秋の花の名を詠んだ俳句を見つめています。出典は、『俳句の花図鑑』(監修:復本一郎、2004年、成美堂出版)です。入門書ですので、花の名にも俳句にも詳しくなくても、美しい写真を眺めながら楽しく読むことができます。
 俳人は季語として花の名をいつも意識するからでしょうか、季節の移ろいに咲く花の姿をとてもよく知っていて素晴らしいなと、私は素直に感じます。

 初秋から順に、出典にあげられたさまざまな俳句から私の心に響いた句を選び、いいなと感じたままの詩想を☆印の後に記します。

 今回は、初秋と仲秋の、花の名を詠み込んだ俳句です。

●初秋

  薄荷咲くうすむらさきの風匂ふ  今井千鶴子

☆「うすむらさきの風」という詩句が美しいと感じます。haKKaSaKU USUmUraSaKino KazenioU、穏やかな調べの基調には、母音のウU音の静けさと、子音K音と子音S音の、息がかすれる音が、かすかな風を感じとらせてくれています。

●仲秋

  廃園に紫苑(しをん)と佇(た)ちて恋ひわたる  秋元不死男

☆「廃園」というロマンの香る詩句で誘い込まれる世界には、紫苑が美しい女性となって隣に佇んでいて「恋ひわたる」という詩句で一気に抒情が立ち昇ります。遥かな美が開けています。
 十七文字という短い俳句には、知的に、枯れた、わびさびの文芸とのイメージを抱きがちですが、このような抒情詩、愛の物語をも紡げるという発見に、心から喜びを感じさせてくれる、とても好きな句です。

  鳥兜(とりかぶと)毒持ちて海の青透けり  加倉井秋

☆「毒もちて」という句がかもしだす負、醜、怖、闇のイメージの強さが、続く「海の青透けり」の、正、美、喜び、光のイメージを、際立たせています。花びらに海の美しく透きとった世界が浮かびあがってくるようです。

  今生は病む生なりき鳥兜  石田波郷

☆毒をもつことを生まれながらに宿命づけられた花と、人間として生きることの性を、語り合っているように感じる句です。生きることは、病んでいることかもしれない、悲しみの問いかけに、私は染められます。

  心急き歩み遅るゝ野菊濃し  星野立子

☆句が表象するものは、読者によって変わると思います。イメージより私は言葉の音楽、調べに惹かれる句です。
 「こころKOKORO」の母音オO音の繰り返し、「せきせsekI」と「こしkosI」は子音I音と詩句の後に無音の間の強さで脚韻を感じさせます。「おくるるokURURU」にも音の快さがあります。
 「野菊濃し」という短い詩句は、作者の眼に強烈に焼きついた花の姿への強烈な印象、感動からこの句が生まれたことを教えてくれます。

■ 出典:『俳句の花図鑑』(監修:復本一郎、2004年、成美堂出版)

  次回も、美しい俳句の花を見つめます。

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tag : 詩歌 詩人 高畑耕治 俳句

朝顔。女郎花。男郎花。蕎麦の花。露草。秋、俳句の花(一)。

 今回からの数回は、秋の花の名を詠んだ俳句を見つめます。出典は『俳句の花図鑑』(監修:復本一郎、2004年、成美堂出版)です。入門書ですので、花の名にも俳句にも詳しくなくても、美しい写真を眺めながら楽しく読むことができます。
 俳人は季語として花の名をいつも意識するからでしょうか、季節の移ろいに咲く花の姿をとてもよく知っていて素晴らしいなと、私は素直に感じます。

 初秋から順に、出典にあげられたさまざまな俳句から私の心に響いた句を選び、いいなと感じたままの詩想を☆印の後に記します。

 初回は、初秋の、花の名を詠み込んだ俳句です。

● 初秋

  朝顔やおもひを遂げしごとしぼむ  日野草城

☆朝顔のしぼんだ姿には心に残るものがあります。すこしねじれて悲しげでありながら、咲いたという満足感を漂わせているようにも感じます。
 「おもひを遂げし」は直接的には花開いたことを指していますが、私には言葉にされない余韻として、男女の交わり、契りを遂げたという連想が、香りのように漂っているように感じられます。

  女の香放ちてその名をみなえし  稲垣きくの   

☆風にゆらめく女郎花のやさしくやわらかな姿から、美しい女性の香りがほんのりたちのぼってきて、姿が重なって浮かび見えるようです。この花の名と姿が結びつく人には、色彩に加え立ち昇る香りにも包まれ、優しい気持ちにさせてくれる句です。

  女郎花少しはなれて男郎花(おとこえし)  星野立子 

☆花は自然に女性を想い起こさせます。結びつきにくい花と男性のイメージが、この句では、とても女性らしい女郎花のすぐそばにいる恋人の男性というイメージで心に咲きます。男女を、恋を歌うとき、詩歌はありのままの姿でとても自然な姿で美しく咲きます。
 「おみなえし」と「おとこえし」という変化して繰りかえされ言葉の音も、呼び求め合う男女の心を奏でています。

  秩父路や天につらなる蕎麦(そば)の花  加藤楸邨

☆「天につらなる」という詩句が美しい句です。「秩父路や」には、旅愁、その地への愛着の想いが伝わってきます。ずっと向こうまで続く白い花のささめくじゅうたんを歩いて空に登っていけるような、広がりと奥行きある風景が、心を遥かな果てまで広げてくれます。

  露草の露千万の瞳かな  富安風生

☆露草に宿る露のしずくたちが、瞳となってひかり、瞬く美しい感動が、「瞳かな」という静かな詠嘆となってふるえています。好きだなと感じます。
 「露」と「の」の繰り返しが、文字の形と音の両面で、句に鼓動、リズム感を生み出しています。

 ■ 出典:『俳句の花図鑑』(監修:復本一郎、2004年、成美堂出版)

 次回も、美しい俳句の花を見つめます。


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tag : 俳句 詩歌 詩人 高畑耕治

神谷恵の小説。信仰、問い、土着、いのち。

 小説家で詩人の神谷恵(かみや・めぐみ)短編、掌編小説が少しずつですが、彼女のブログサイトで公開されはじめています。

     「天上に吹く風」(カテゴリ:小説) (クリックでお読みになれます)。

 彼女の小説の個性を私なりにお伝えすると、三浦綾子、遠藤周作、シモーヌ・ヴェーユの、クリスチャンとしての信仰と問い、石牟礼道子の土着からの社会への眼差しといのちの表現、その良いところが織り混ぜられているように、感じたりします。

 九州の天草の地から、すさまじい闘病生活をされつつ、発信されています。

 これまでは文芸誌『糾(あざな)う』でしか読めませんでしたので、彼女の作品の輝きに触れうる場が広がったことを、私はとても嬉しく思います。
 小説がお好きな方、この紹介記事で何かしら感じることを持たれた方は、ぜひお読みください。心に鳴り響く余韻が消えない、小説です。


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tag : 詩歌 詩人 高畑耕治 小説 神谷恵

新しい詩「みあげたら」をHP公開しました。

 私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「みあげたら」を、公開しました。

   詩「みあげたら」   (クリックでお読み頂けます)。

お読みくださると、とても嬉しく思います。


 ☆ お知らせ ☆

 『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。
(A5判並製192頁、定価2000円消費税別途)
☆ 全国の書店でご注文頂けます(書店のネット注文でも扱われています)。
☆ Amazonでのネット注文がこちらからできます。
    詩集 こころうた こころ絵ほん

 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。
絵と音楽と詩の響きあいをぜひご覧ください。
    こだまのこだま 動画  

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tag : 詩人 高畑耕治 詩歌

新しい詩「惑星」をHP公開しました。

 私の詩のホームページ「愛のうたの絵ほん」に、新しい詩「惑星」を、公開しました。

   詩「惑星」   (クリックでお読み頂けます)。

お読みくださると、とても嬉しく思います。


 ☆ お知らせ ☆

 『詩集 こころうた こころ絵ほん』を2012年3月11日イーフェニックスから発売しました。
(A5判並製192頁、定価2000円消費税別途)
☆ 全国の書店でご注文頂けます(書店のネット注文でも扱われています)。
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 イメージング動画(詩・高畑耕治、絵・渡邉裕美、装丁・池乃大、企画制作イーフェニックス・池田智子)はこちらです。
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tag : 詩歌 詩人 高畑耕治 惑星

詩人・尼崎安四。どのように詩を創るか。

 詩人の尼崎安四と俳人の山田句塔を中心にエッセイを記してきました。そのまとめとして前回は、尼崎安四の手紙の言葉から、詩とは何か、記しました。

 今回は、尼崎安四を師と仰ぐ詩人・諫川正臣の文章を通して、彼がどのように詩を創作したかを見つめ、創作方法について私の考えを記します。

● 以下、諫川正臣の文章、詩誌「黒豹」119号編集後記からの引用です。

★ 安四は詩を批評する時、真剣な表情になった。一行ごとに、一字一句に到るまで丁寧に検討を加え批評した。
詩の言葉として適切でない場合はその理由を克明に説明し、それには説得力があった。併しどのような言葉で作り直せばよいかという実例は殆んど示さなかった。それは自分で考えよということだ。一度書き上げた作品で詩の言葉として不適切な部分を見出し、適切な言葉に置き換えるという作業を繰り返すことによって試作の力が養われる。自分では適切な言葉になったと思っても、なお思い入れが強いため客観的には不充分であることが多い。
日数を置いて何度も見直し書き直すことによって詩の言葉が会得されるのだと思う。「詩は感動した時に作ったものでないと迫力に欠けるのではないか」と安四に聞いたことがある。すると「詩は心で書くものだから、仕上った時がその人のその時の詩の心だ。何年かかってもいい」とのことであった。安四の「蛇」という詩は、二冊のノートを費し、一年がかりで完成された。書き始めた時の作品とは全く違うものになっていた。その作り変えられていく過程を具に見聞できたことは幸いであった。(略)
(諫川正臣の文章、詩誌「黒豹」引用終わり)●

 この文章には、大きく二つの主題がありますので、それぞれについて、記します。

1 詩の批評と修練

 安四は「真剣な表情」で、「一字一句に到るまで丁寧に検討を加え批評した。」「どのような言葉で作り直せばよいかという実例は殆んど示さなかった。それは自分で考えよということだ。」

 詩に向き合う態度として私は深く共感します。文学のさまざまな表現形式のうち、詩は最も「一字一句」を丁寧に選択することに拘り、創りあげる芸術です。前回記しましたが、言葉で表現できる要素すべてを最大限に生かせるように、詩句を織り上げていくのが詩の創作です。

 作り直す場合の実例を殆ど示さなかった、という姿勢にも私は共感します。言葉を見つけ出していく行為そのものが詩作なのだから詩句を差し出してしまったら、代作をしたことになります。創作過程で作者自らが探し出した詩句にだけある息吹、魂が、与えられた言葉にはありません。

2 詩の心、感動

 「詩は感動した時に作ったものでないと迫力に欠けるのではないか」と安四に聞いたことがある。すると「詩は心で書くものだから、仕上った時がその人のその時の詩の心だ。何年かかってもいい」とのことであった。

 安四のこの創作方法についても、私は深く共感します。詩人それぞれの独自の創作方法で生まれる多様な姿の作品があるのはいいことだと考えていますが、安四のこの言葉には、どのような詩であれ、詩になくてはならないものが語られています。

 「詩は心で書くもの」、そうだと私も思います。そして、「仕上った時がその人のその時の詩の心」、完成の瞬間です。これも創作の真実を伝えてくれていると思います。「何年かかってもいい」、この言葉には拡がりがあります。何年かかかってようやく完成、その詩の心を見出せる作品もあれば、短い時間でその詩の心が現れ完成する作品もあり、そちらも否定はしていません。

 安四が前回紹介した手紙で、第一級の芸術としてリルケの『ドゥイノの悲歌』松尾芭蕉の句を挙げていることからもわかるように、試作品の文字数・行数の長短は、創作時間の長短と、あまり関係がありません。例えば、松尾芭蕉や種田山頭火の作品には、短時間に読みあげたと同時に詩の心を響かせた句もあれば、何年もの年月をかけてその詩の心を見つけ完成した句もあります。

 このことは私の作品にもあてはまります。十年かかった作品もあれば、一日で生まれた作品もあります。そのことと、どちらが優れているかは、直接のつながりはありません。

 同じことはもう一点、完成するまでの作品の姿の変化についても言えます。私にも、短い時間、瞬間にあふれでた詩句がそのまま詩の心、完成である作品もあれば、引用の文章にあるように、最初とは全く違う姿で、作者の詩の心を響かせる作品もあります。ここにも優劣はありません。

 どの作品についてもいえるのは、作者にとっては、完成した、詩の心を響かせえた瞬間の、作品の産声はかけがえのないものということです。どんな非難を浴びようと、無視されようと、自分だけは必ず守り抜くと心に誓う、命を灯してくれた、かけがえのない子どもだから、作品を愛さずにはいられません。

 二回にわたり見てきましたが、尼崎安四は、詩の本質と真実を深く理解し、詩を心から愛してやまなかった、本物の詩人だと、私は思います。詩は、感動、心で書くもの、一番大切なことを教えてくれる人だからです。

 最後に、彼の詩を引用して紹介した過去のエッセイをもう一度リンクします。彼の作品のうち、私がもっとも好きな詩、心の花を咲かせています。

   詩人・尼崎安四(一)。詩はいのちの生き様。
   詩人・尼崎安四(二)。詩は愛。


■ 出典:諫川正臣 詩誌「黒豹」119号 編集後記。『哀歌・戦友』細井冨貴子「季刊銀花」第75号。

 次回からは、秋の俳句の花をみつめていきます。


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